ビザ・ワールドワイドは8月26日、「VISA認証サービス」のモバイル対応を発表した。10月より、世界に先行して日本限定で試験運用を開始する。
VISA認証サービスは、ECでクレジットカードを使って決済する際、カードの使用者がカードの所有者本人であることをパスワードで確認する認証サービス。あらかじめ認証用のパスワードを発行しておき、各ECサイトの決済時にパスワードを入力することで本人確認を行う。
2001年よりPC向けにサービスを提供しており、世界100カ国以上、1万のカード発行会社、44万の加盟店が利用。MasterCardやJCBといったカードブランド向けにもサービスを提供しているという。
今回発表したのはそのモバイル版。NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリアの第3世代以上の端末(一部除く)に対応。携帯電話のフルブラウザやスマートフォンにも対応するほか、今後発売される端末にも順次対応していくという。
ビザ・ワールドワイド・ジャパン新技術推進部の鈴木章五氏は、「経済産業省の発表(平成21年消費者向け電子商取引実態調査)によるとECの決済ではクレジットカードが44.3%と主流になっている。これは支払い時に手数料がかからず、処理も簡単。(銀行振り込みなどと違って)購入と支払いが同時にできるからだろう」と、現状を説明する。
そのECの中でも、モバイルを利用したECの割合が19.2%(前述の経産省調査)となっており、「いい意味でも悪い意味でも『ガラパゴス』と言われる日本だが、モバイルと決済がここまで利用されている国はない」と、日本からサービスを開始した経緯を説明した。
試験運用の具体的なスケジュールは未定。サービスの運用に問題ないことが確認され次第、正式運用を開始するという。
同日開催された発表会では、米Visa eコマース兼本人認証担当グローバルヘッドのGerry Sweeney氏が世界のECの現状やVisaグループの日本戦略などを説明した。
Sweeney氏によると、世界のEC市場は依然成長を続けており、売上高では8800億円を上回る見込み。現在北米を中心に利用されているが、今後はアジア太平洋圏などの未成熟市場も拡大し、さらなる成長が続くと分析する。
中でも日本は2014年までに12兆円規模の市場に成長する見通し。モバイルECの比率も拡大し、2014年度には2兆5000万円以上に達するという。そこで世界に先駆けてモバイル版の認証サービスの提供に至ったという。
今後同社は、不正の増える非対面取引や偽造といった分野でのセキュリティや本人認証に向けた戦略を強化していく。さらに、米国で提供するウェブサービス「Rightcliq」やオーストラリアで提供している少額決済サービス「payclick」などを他地域で提供することも検討していくという。
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