11月25日に開催されたモバイルコンテンツのコンファレンスイベント「MCFモバイルコンファレンス2009(mobidec2009)」にて、ソフトバンクモバイルモバイルのマーケティング本部 副本部長である蓮実一隆氏が登壇。動画を中心とした同社のモバイルコンテンツ戦略について説明した。
ソフトバンクモバイルモバイル 代表取締役社長の孫正義氏は、2009年を「インターネットコンテンツ元年」と打ち出している。蓮実氏はなかでも、70歳ぐらいの年齢の人でも利用できる「かんたん」と、モバイルだからこそ実現できる「付加価値」という2つのキーワードに集中して取り組んでいると語る。
その取り組みの実例が、お笑い映像コンテスト「S-1バトル」やスポーツ情報などを動画で見られる「選べるかんたん動画」といった動画コンテンツとのこと。これらはソフトバンクモバイルから送られたメールからワンクリックで動画が見られるようになっており、簡単さと、「自分がお笑い番組の審査員になる」「自分の好きなチームの情報が確実に得られる」といった、ユーザーが求める付加価値を与えていると説明する。
2009年冬から開始する、携帯電話から無線LANが利用できる新サービス「ケータイWi-Fi」についても同様だ。従来の携帯電話のユーザーインターフェースに、新聞紙面の無料購読や映画の試写会視聴といったケータイWi-Fiのコンテンツやサービスを組み込むことで、携帯電話で無線LANを利用することの良さを体感できるようにしたと話している。
蓮実氏はさらにもう1つ、「おトク」というキーワードにもこだわっていると話す。その一例が、登録すれば毎月ポイントが取得でき、着うたフルが入手できる「かんたんミュージックGOLD」だ。これは、多くの人がデジタルコンテンツを利用しない理由として、ユーザーインターフェースのほかに、「お金が取られる」という心理的影響が大きな障害となっているいう分析にもとづくもの。料金面での敷居を下げるべく、毎月自動でポイントが入るという仕組みを取り入れたのだという。なお、かんたんミュージックGOLDの利用料金は月額210円となっている。
このほか最近の施策としては、大きな事件などが発生した際にメールで通知する「速報メール」や、選べるかんたん動画のジャンルに「コスメ」「占い」など女性向けジャンルを増やしたことなどがある。以前テレビ朝日に所属していた蓮実氏は、このうち「コスメ」への取り組みを例に挙げて、テレビとモバイルの動画に対する取り組み方の違いを語った。
テレビでこのようなテーマに取り組む際は、広い層からの人気を獲得するため、個性的なメイクアップアーティストを起用するなどしてバラエティ要素を取り入れる必要がある。だが、モバイルではコスメ情報だけを見たい人が視聴する。そこで、ソフトバンクモバイルではヘアメイクアップアーティストなどが所属するプロ集団「ThreePeace」を起用し、一般の人が活用できるメイク手法をわかりやすく解説するようにしたとのこと。テレビとは映像の作り方を大きくを変える必要性があると蓮実氏は実感したという。
また、「個人的見解」としながら、携帯電話とテレビとの今後の関係についても触れた。かつてエンターテインメントの王様であった映画が、かつて「画面が小さく周りに誰もいない」など批判されたテレビにその座を奪われている。それと同じことが現在のテレビと携帯電話の関係でも起きつつあると蓮実氏は言う。現在は携帯電話がテレビに「憧れている」状況だが、SNSやオークションなど、携帯電話ならではのコンテンツと動画の組み合わせが重要となる時代が、2010〜2011年にはやって来るのではないかと予想した。
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