7月22日に開幕した携帯電話関連の展示会「ワイヤレスジャパン2009」には、KDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ商品統括本部長の高橋誠氏が講演に登場。auのモバイルコンテンツビジネスの状況について説明した。
auは6月、携帯電話の新規契約者数が4キャリア中最下位となった。しかし高橋氏は、IP接続サービスの純増数で見れば1位だと話す。IP接続サービスとは携帯電話から利用するインターネットサービスのことで、iモードやEZweb、S!ベーシックパックなどの契約数がこれにあたる。つまり、通常の携帯電話の純増数だけを見れば、KDDIが最も伸びているというのだ。
「NTTドコモはデータ通信カードの販売や、ウィルコムへのMVNOなどが多いのだろう」と高橋氏は分析。ソフトバンクモバイルについては、「よくわからないので聞いてみないといけない」と言葉を濁した。
ただ、分離プランや長期契約制度の導入で端末の買い換えサイクルは長期化し、ユーザーは同じ端末を2〜3年は使うようになっている。モバイルコンテンツは、ユーザーが端末を買い替える時期が最大の商戦といわれており、買い換えサイクルが長くなれば、コンテンツの売り上げにも影響が出る。
高橋氏は「現在はモバイルコンテンツの利用者層を横に広げる(世代を広げる)ことで、市場を維持している状態。番号ポータビリティ時代が終わり、1ユーザーにどれだけ深く浸透するかが問題になっている」と話し、1ユーザーあたりのコンテンツ利用額をいかに伸ばすかが今後のモバイルコンテンツ市場の成長を左右するとの見方を示した。ただ、「EZweb利用者のうち、有料コンテンツを使っているユーザーの割合は40%強しかいない」とも述べ、引き続きユーザー層の拡大も図る方針だとした。
auで最も利用されているコンテンツは着うたフル。このほか、ゲームや電子書籍も好調だ。ソーシャルネットワーキングサービスのGREEなど、アイテム課金型のコミュニケーションサービスも売り上げを伸ばしているという。
ライバルのNTTドコモはエイベックスと組んでBeeTVを始めるなど、動画サービスに力を入れている。これに対し、auは現在、携帯電話向けの動画配信について、ファイルサイズを1.5Mバイトに制限している。通信網が混雑するのを避けるための措置だが、「そろそろこの制限を取っ払わないといけないだろう」と高橋氏は制限緩和にも言及した。実際、6月22日からは10Mバイトの動画ファイルを試験的に配信しており、「LTEなどを使ってどう配信するかも決めないといけない」と、将来のネットワーク増強も見据えて判断するとした。
iPhoneやAndroidの登場で注目されるオープンOSへの対応については、「オープンな環境でもコンテンツプロバイダーがビジネスできるようなモデルは我々が作らないといけない。無秩序にコンテンツを並べるだけではその良さが伝わらないだろう。オープンさを大事にした上で、トータルコーディネートをしたものをユーザーに届けないといけない」と話す。「モバイルのビジネスモデルは良くできており、オープン化しても無にはならない」として、これまで国内で築き上げたエコシステムをオープンOS上でも築いていく考えだとした。
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