ワイヤレス&モバイルビジネスのイベント「ワイヤレスジャパン2009」で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯電話の通信3キャリアが、基調講演を開催した。「移動体通信ビジネスと端末開発の将来ビジョン」と題して行われた講演の内容を紹介する。
NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏は「ドコモの変革の取り組みと新たな成長に向けたチャレンジ」と題し、「ドコモの10のチャレンジ」について話した。
チャレンジの中には、すでにサービス提供を開始している「iコンシェル」や「BeeTV」のさらなる進化や、LTEの導入、基礎研究段階にあるぺタマイニング技術の活用まで、「仕込みつつサービスに出せるものはどんどん出していきたい。2009年度、2010年度に花開くサービスもある」というように、直近のものから、中長期のものまで多岐に渡った。
すでに導入済みのiコンシェルに関しては、「パーソナル化の推進と更なる進化」をテーマに新サービスを検討中であると発表した。「たとえば今のiコンシェルは、GPS機能による位置情報は利用していない。今のパーソナル情報に位置情報を連動した機能拡張をすると、たとえばよく行くスーパーを登録しておけば、そのスーパーの前を通ったときに『タイムセール開催中』などの情報が取れるようになる」とする。
これに加えて「実用化まであと一歩」という会話型インターフェースを組み合わせることで「『アラジンの魔法のランプ』のようなケータイを目指したい」と話した。導入時期に関しては「冬モデルからぜひ(やっていきたい)」としている。
次世代通信規格であるLTEに関しては「トラフィック増にきちんと追いつくために必須のネットワークである」と位置づけ、提供開始時期を「世界の先頭集団として2010年12月に予定している」とした。「FOMAを導入したときにいただいた『使える場所が少ない』というクレームを受け止め、3G/LTEのデュアル端末を提供していく」と対応端末についても明らかにしている。
iコンシェル同様にGPS機能を生かした新サービスとして基盤研究段階にあるチャレンジが「ペタマイニング技術を活用した新たな価値創造」だ。これは携帯電話のGPS機能を集団としてとらえることで、社会の動向が見えてくるというもの。「たとえば東京だと昼間人口と夜間人口の差。そしてその人口が夜はどこに移動しているのか、ということが可視化できるようになる」という。
ドコモでは、これらのデータ用として、2009年夏に200台のパソコンをつないで400Tバイト程度のデータ処理ができる環境を構築したとのこと。山田氏は「2010年には1000台のパソコンを接続し、2ペタ程度の情報処理ができないかなと思っている。そうすると社会の動向が見えてくるのでは」と研究段階の技術に対し期待を寄せる。
このほか、放送や情報家電と携帯の融合サービスや、端末とネットワークのコラボレーションへの取り組み、グローバル展開などをドコモのチャレンジとして挙げた。
山田氏は「ICTの活性化に向けぜひチャレンジしていきたい。携帯電話はすでに成熟段階。リアルタイム性、個人認証、位置情報などの特性をいかし、連携を通じて、イノベーションを起こし続ける」とした。
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