ウィルコムは4月22日、2009年秋に予定している次世代PHSサービス「XGP」開始に先駆け、エリア限定で4月27日より実験サービスを開始すると発表した。期間は9月30日までを予定。
速度は上り・下りともに最大20Mbps。山手線内の一部を対象エリアとする。料金は無料で、PCカードタイプの専用端末を貸し出すという。
まずはウィルコム本社(東京・港区)にてデモ展示を開始するほか、アプリケーション共同実験パートナー約80社や団体などを対象に実証実験をしていく。さらに6月をめどに企業など約500ユーザーを対象に展開するとしている。
なお、今回は高速回線を使ったビジネスの方向性を探るため、一般の個人ユーザーを対象にしたモニター募集は実施しないという。エリア限定サービスをしながら速度のチューニングなどをし、秋からの本格サービスに向けて安定したネットワーク環境を提供する方針だ。
ウィルコムのXGPは、これまでPHSで培った資産を最大限に活かして開発したという。WiMAXやLTEといったブロードバンドシステムと技術要素はほぼ共通だが、ウィルコムは数十m〜数百mごとにきめ細かく基地局を設置する「マイクロセル方式」を採用していること、上下対称で、上りも高速である点が異なる。
記者会見の会場にXGPの基地局を設置し、デモを実演。下りは18Mbps程度でていたが、上りの速度は12Mbps程度となっていた。理論的には上りも下りも同程度の速度がでるとしており、今後はチューニングをしていくとしている。
WiMAXとLTEは、1つの基地局で数百m〜数kmの広い範囲をカバーする「マクロセル方式」を採用している。それについてウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏は、「昼間の前後のオフィスや夜間の住宅街など、アクセスが集中するとスピードが落ちるのが、マクロセル方式の弱点だった。XGPは、スピードが落ちにくいのが特徴だ。動画を送信したりテレビ会議をしたり、あまり脚光を浴びていなかった動画をとってそのまま送るといったことにも強さを発揮する。新たなアプリケーションを活用できるインフラとなる」と自信を見せる。
XGPでは高速な上り通信速度を活かし、フジテレビと共同で取材現場からHD映像を送る放送インフラとしての実験なども行うという。今回の実験を通して、各パートナーとエリア限定サービス中に各種実験を行い、XGPのさらなるビジネス展開の可能性を探っていく方針だ。
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