ARMは、世界中の携帯電話向けにチップ設計を手がける英国企業だが、いまやゲーム事業へも本格的に進出してきている。
同社は、単に小さな携帯電話のスクリーン上でキャラクターをコントロールする以上のものを目指している。先週行われた電話でのインタビューにおいて、ARMのマーケティング担当バイスプレジデントIan Drew氏は、同社製の「Mali」グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)では4コアへのスケールアップも可能であることを述べた。ARMは、ノルウェーに拠点を置くFalanx Microsystemsを、2006年に買収しており、同社のグラフィックス技術を獲得した。
4コアの「Mali-400 MP」GPUでは、携帯電話、セットトップボックス、携帯型ゲーム機、据え置き型ゲーム機での高解像度(HD)パフォーマンスの向上を目標としている。Mali-400 MPは、1秒につき最高10億ピクセルのグラフィックス処理性能を備える。ちなみに、NVIDIAは、この1秒につき最高10億ピクセルという処理性能を、2000年に達成している。
NVIDIAやAMDのハイエンドなゲームチップは、高度なPCグラフィックスに採用され、一般的に何百ものプロセッシングコアを備えてはいるものの、消費電力を抑えることが、小型デバイス向けのARMグラフィックスチップでは求められている。Drew氏は「グラフィックスアーキテクチャは、大いにメモリ帯域幅を必要とする。そして、メモリ帯域幅は、実に消費電力を要するものである」と語っている。それゆえに、Drew氏によれば、ARMは、メモリ帯域幅を最低限に抑えることに取り組む必要があるという。
しかしながら、4コアへのスケールアップで、ARMは、これまでとは異なり、さらに高度な要求をするグラフィックス処理が可能となる。PCカテゴリから、よりハイエンドなゲームが誕生し、ゲームや、そのプラットフォームとなるスマートフォンは、「常にさまざまな異なる画面解像度と異なる帯域向けに」設計されるようになるだろうと、Drew氏は述べた。スマートフォンにおいては、「スクリーンサイズが大きくなればなるほど、よりパワフルなグラフィックスの搭載も可能になり」、一層のグラフィックス処理能力も求められるようになる。
また、スマートフォンや他のゲーム機から、大画面テレビに1080pの動画再生を実現しようとする需要が高まれば、より高度なグラフィックス性能を備えることが必須になると、Drew氏は語っている。
Maliでは、デスクトップのOpenGLライブラリから派生した「Open GL/ES」がサポートされる。OpenGLは、PCや他のデバイスのグラフィックス向けに、最も広く使用されている標準規格の1つである。
Mali技術のライセンシーの数は、現在までに27社に上っている。Amlogic、Broadcom、LGエレクトロニクス、Motorola、サムスン、Siemensなどが、そのライセンシーとなっている。
現在、ARMから最も広くライセンス提供されているGPUは、「Mali-200」GPUとなっており、プログラム可能なシェーダ実行性能を備えている。シェーダは、グラフィックスのレンダリングに活用される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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