FlashはもはやPCだけの技術ではなく、携帯電話でも一般的に使われるようになっている。PCに比べて制約の多い携帯電話においては、どういった点に気を付ける必要があるのだろうか。
アドビ システムズが主催した、クリエイター向けイベント「Adobe MAX Japan 2007」において11月1日、「モバイルコンテンツ制作の効率化、そして楽しくなる方法」と題したトークセッションが行われた。
スピーカーとして最初に登壇したのはCELLの執行役員技術開発事業部長兼プロデューサーの南治輝氏と、同社執行役員 デバイスマーケティング部長の安西渉氏。CELLはモバイルコンテンツ制作会社として、ディー・エヌ・エー(DeNA)の携帯電話向けゲームソーシャルネットワーキングサービス「モバゲータウン」向けに「ローリング刑事」、「モバゆび」といった、Flashを利用した数多くのゲームコンテンツを提供している。このため、同社には常日頃からさまざまな企画書が持ち込まれるという。
開発サイドが企画者側に望む点は「企画書段階でコンセプト、絵のテイスト、世界観、基本のゲームシステムをきちんと固めること」(南氏)、「一番大切にしたいことは何か、譲れないことは何かを一本筋を通すこと」(安西氏)とそれぞれに語った。また、両者によると、Flash Liteの利点はあとから容易に手直しができる点にあるという。ゆえに開発の進め方として「スペックの余剰部分で機能を追加していく」(安西氏)ことを念頭に企画を立てることを推奨した。
ただし、コンテンツを開発する上で企画側の要望をすべて満たそうとすると、端末のデータ容量やメモリが不足したり、端末上で処理が遅くなったりするなどの問題が日常的に起こってしまうという。これに対して開発側で対処可能な方法として挙げられたのは、ファイル容量の削減、消費メモリの削減、処理最適化の3点。例えば、グラフィックの不要なパスや、不要なシンボル構造の削減、線から塗りへの変更といったものだ。
そしてこうした最適化処理は、最終的に実際に端末上で動作させて確認することが重要となる。そのために便利なツールとして紹介されたのが、アドビとCELLが共同で開発し、2007年6月から提供されている「Adobe Device Central CS3」だ。このツールは、300種類以上の端末の仕様や特徴を含んだデータベースを持ち、それぞれモバイルコンテンツをプレビューできる。Flashをはじめとするモバイルコンテンツを端末環境に応じてPC上でシュミレートすることにより、端末上でのテスト時間を大幅に短縮することが可能だ。
現時点では3カ月に1回のペースで無償アップデートが行われているが、リアルタイムでのアップデートなどを望むユーザーの声に応え、検索条件の保存機能やデータの並べ替え機能などを付加した改良版も開発中だという。
続いて、CELLの顧客企業の代表として、DeNAのポータル・コマース事業部 モバイルポータル部長の畑村匡章氏が登場。モバゲータウンで展開した日本コカ・コーラのアバターゲームと、日本テレビの24時間テレビにおけるキャンペーン広告を紹介した。
Flash Liteを利用したコンテンツについて「Flashゲームは、Java等のアプリケーションに比べて起動までの時間が圧倒的に短く、移動時間や休憩時間などの合間にすぐに楽しめるのがメリット。さらに、パケット定額制対応の端末であればほぼ全ての機種でFlashプレーヤーが搭載されており、3キャリア共通で利用可能な技術であることから、より多くのユーザーにゲームを提供できる」(畑村氏)と、その有用性を語った。
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