アップル、iPhoneの値下げで訴えられる--訴訟の問題点を読み解く

文:Josh Wolf(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年10月04日 19時26分

 AppleがiPhoneを200ドル値下げすると発表した際、喜び勇んで即座に最寄りのAppleストアへと向かった人もいるだろう。しかし、既にiPhoneを購入していた早期購入者らにとって、この値下げは顔を平手打ちされたに等しいものだった。こういった人々の中には、Steve Jobs氏がロイヤリティの高い顧客である彼らのために、次回にApple製品を購入する際に使える100ドル分の商品券を提供すると決定したことを受けて満足した者もいたが、多くの者はそれでは十分ではないと感じたのだった。不満を抱えたこういった購買者のうちの1人が、Appleを相手取って100万ドルの訴訟を起こしたのである。

 200ドルの値下げによって100万ドルの損害が引き起こされたという主張につながる根拠を、訴訟の当事者であるDongmei Li氏がどのように示すつもりでいるのかは明らかにされていないものの、CNNによると同氏は「自身を含む早期購入者らはiPhoneを転売する際に、値下げ後に購入した人々と同等の利益を得ることができなくなったため、この値下げは早期購入者に被害を与えていることになる」と主張しているという。このため、200ドルが実際の損害で、99万9800ドルは苦痛に対する慰謝料ということになるのだろう。

 こうした訴訟は何もこれが初めてというわけではない。それらの中には原告が勝訴したものすらある。McDonaldsの熱いコーヒーを自ら体にこぼした後で同社を訴えて270万ドルの賠償金を勝ち取った70歳の女性の話を覚えている読者の方もおられるだろう。もちろん、彼女は体の6%に3度の火傷を負ったが、Li氏は私の知る限り、購入を我慢していればそれほど高額を支払わずに済んだはずだというきまりの悪さに苦しんだだけだ。おそらく同氏は、彼女の訴訟を取り上げたことを理由に、そのうちCNNに対して訴訟を起こすことだろう。私がこう言うのも、自分の携帯電話に高いお金を払いすぎたことに対してよりも、Appleを相手取って訴訟を起こしたことに対しての方が、ずっと多くの嫌がらせに対処することになるということを知っているからだ。

 テクノロジ製品の価格は時が経つにつれて下落していくということは誰でも知っている。もちろん、あるガジェットの価格がわずか2カ月で40%も下落するということはそれほど頻繁に起こるわけではないが、企業は一般的に自ら価格を設定し、任意にそれを変更することが許されている。AppleがiPhoneを値下げするまでに6カ月が経っていたとすれば、Li氏はそれでも訴訟を起こしただろうか?もしも1年後だったとしたら?

 AppleがiPhoneを値下げしたことで痛い目を見た早期購入者らはLi氏を応援したくなるかもしれないが、もしも同氏が勝訴すれば、実際に痛い目を見るのは同氏以外の全員だ。もしも価格を下げることが違法になるというのであれば、すべての物にどれほど余計にお金を支払わなければならないかを考えてみてほしい。古いモデルのコンピュータが、最新モデルのものと同じぐらいの高値で売られることになり、ショッピングモールはセールのイベントを打てなくなり、地元の生鮮食料品店は缶入りとうもろこしの特価販売を禁止されることになるだろう。

 もちろん、Li氏は勝訴すれば100万ドルを手に入れることになるが、他の人はどれほどのお金を失うことになるのだろうか?といっても、私はこのことについてそれほど心配はしていない。Dongmei Li氏がこの訴訟に勝つ確率はゼロといってもいいと思っているからだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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