今回はモバイル広告について考察を加えたい。まずは電通が発表している過去3年間の日本の媒体別の広告費をご覧いただきたい。
2007年の広告費を媒体別にみると、テレビをはじめとする、新聞、雑誌、ラジオの「4マス媒体」の広告費が軒並み減少する一方、「セールスプロモーションメディア(SP)広告」と呼ばれる屋外広告、交通広告、ダイレクトメール(DM)、フリーペーパー、POP広告が、増加していることが分かる(ただし折込、電話帳を除く)。
表中段にあるインターネット広告費は、おおまかに言うとPC広告とモバイル広告を合算したものとなっていて、前年に比べて20%以上伸びており、全体に占める構成比は2005年の5.6%から2007年の8.6%に上昇している。
テレビおよび新聞が占める広告費が合算して全体の4割以上を占めており、突出して高いと言わざるを得ないのだが、それでもインターネット広告の躍進は目覚ましいものがあり、「4マス媒体」から「5マス媒体」の時代に突入したと言っても過言ではない。
先ほどの日本の広告費の表中段にあるインターネット広告費(媒体費)を細分化し、2011年までの将来展望を付け加えたものが以下のグラフである。
これを見ると、モバイルの広告費は、インターネット広告全体の15%前後を占める形で推移している。日本のインターネットアクセスのファーストウィンドウ(最初にアクセスする画面)がモバイルに移行していることを考えると、個人的には、モバイル広告費は20%強のポテンシャルはあるのではないかと予想している。ただ、そうなっていくためには前々回のコラムでも申し上げたように、広告クライアントをモバイルサイトへ誘致することが不可欠となる。
インターネット広告推進協議会(JIAA)が定義しているインターネット広告の種類が以下の表である。インターネットを使った広告という意味では、ネット接続が可能な携帯端末への広告配信も含まれる。デバイスはPCだけでなく携帯電話やカーナビ、デジタルテレビと拡大し、ユーザー層もさらに広がりを見せている。
インターネット広告は現状、ウェブページにユーザー側がアクセスする「プル型」と、メールなどの手法でユーザーに直接送られる「プッシュ型」の2つに大きく分けられるが、 こうした閲覧端末による違いから、新たな手法も出てくると思われる。
広告形態をプッシュ型とプル型に分類した場合、モバイルの特性である24時間30cmのメディア(※編集部注:24時間、常にユーザーの30cm以内のところにあるメディア、という意味)のプッシュ型広告の効果は大きい。公式サイトの中でも、その特性をフルに活かしたサイトの1つであるTSUTAYA onlineは毎週約3400万通以上のメールマガジンを携帯電話向けに配信しており、担当者曰く、「携帯電話にメールが送られてきた場合、10分以内に80%以上の人が開封し、その効果は2日間持続する」という。 前回のコラムでもご覧いただいたが、ビデオリサーチが携帯電話、PHSの毎60分利用率を調べた結果が以下である。
水色の折れ線グラフが、メール機能の利用率を示す部分である。全てがメール型の広告という訳ではないが、プル型のインターネット機能と比較しても倍以上利用されており、メール広告は高い効果があることが予想される。
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