ファーウェイは10月7日、世界で初めて第5世代携帯電話(5G)ネットワーク向け無線アクセス技術に関する大規模フィールドトライアルに成功したと発表した。NTTドコモと共同で、中国・四川省成都市にある専用の屋外試験場で実施したという。
同フィールドトライアルは、6GHz以下の周波数帯を用いたマクロセル環境で、24のユーザーデバイスへの同時ストリームを実現する大規模なマルチユーザーMIMO(MU-MIMO)技術の検証に世界で初めて成功した事例となる。ファーウェイが提唱する5G向け新無線インターフェース技術であるSCMA(Sparse Code Multiple Access)技術とFiltered-OFDM技術をひとつの5Gプロトタイプ装置に実装し、屋外環境でのパフォーマンスを検証する初の機会となった。
100MHzの超広帯域を用いて実施されたMU-MIMO技術の検証においては、平均で下り1.34ギガビット/秒のスループット、下りフレーム瞬間速度では3.6ギガビット/秒のスループットを記録。シングルユーザーMIMO(SU-MIMO)技術を活用した時と比べ、10倍以上の通信速度を記録した。同社によると、5G向けの新しい無線アクセス技術の共同フィールドトライアルは、世界で進む5Gの標準化と商用化を加速する重要な一歩となる見込みだという。
NTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室長 中村武宏氏は、「世界で初めて大規模なマルチユーザー環境での検証に成功した今回のトライアルは重要なマイルストーンとなりました。日本で行う次期フィールドトライアルでは、さらに目覚しい成果が得られるものと期待しています」と述べている。
また、ファーウェイのフェローであり、同社ワイヤレスネットワーク部門最高技術責任者であるトン・ウェン氏は、「2018年までに5G技術に関する通信規格をまとめるという目標を掲げるファーウェイにとって、今回の共同フィールドトライアルは大きな前進となりました。この成果は今後の5G研究に生かされ、さらに革新的な技術の進展につながっていくでしょう」とコメントした。
両社は3月に、5G無線インターフェース技術の共同フィールドトライアルでの協力を発表しており、現在両社はMU-MIMO、SCMA、Filtered OFDMなどの中核技術を体系的に検証可能な成都市の専用屋外試験場でフィールドトライアルを進めている。
ファーウェイによると、2018年にパートナー企業各社とともに初の5Gパイロットネットワークを立ち上げ、2019年に相互運用試験を実施。2020年には5Gネットワークの商用化を開始する計画だという。
なお、10月10日まで幕張メッセで開催している「CEATEC JAPAN 2015」において、現在も同試験場で継続する共同フィールドトライアルの模様をライブ中継している。
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