米司法省は、AT&Tが計画しているT-Mobile USA買収の中止を求める提訴を、ワシントンDCの連邦地裁に対して行った。
司法省は米国時間8月31日にコロンビア特別区の米連邦地方裁判所に提出した書類の中で、この買収は携帯電話業界の「競争を著しく減じる」ものであり、承認を阻止するべきだと指摘している。さらに司法省は、この取引によって「日常生活でモバイル通信に頼っている多くの米国人に、価格の上昇、サービスの質の低下、選択肢の減少、革新的な製品の減少」がもたらされるおそれがあるとも説明している。
James M. Cole司法次官は今回の決定を発表した声明の中で、「AT&TとT-Mobileが1つになると、米国中で多くの消費者が、モバイル通信サービスにおける価格の上昇、選択肢の減少、および製品の質の低下に直面するだろう」と語っている。「地方在住者や低所得者層を含む全米の消費者が、この国の無線通信事業者、とりわけ現在も全国展開している4社間の競争の恩恵を受けている。今回の訴訟は、この競争のメリットを誰もが引き続き享受できるよう起こされたものだ」
AT&Tは2011年に入り、Deutsche TelekomからT-Mobile USAを390億ドル相当で買収する計画を発表した。発表が行われるとすぐに、この買収は市場の競争を妨げ、最終的には消費者と競合企業のどちらにもマイナスになるおそれがあるとの批判の声が上がった。AT&TとT-Mobileが合併すると相対的に規模が小さくなってしまうSprintは、この合併について特に積極的に発言しており、最後まで争うと語っている。
司法省がこの買収で問題にしているのは、価格と競争についての懸念だけではない。31日の声明で司法省は、T-Mobileがこれまでの通信業界において「型破りな力」を発揮してきたと指摘し、Android搭載端末をいち早く発売し、先進的なHSPA+ネットワークを最初に立ち上げるなど、「重要な『業界初』をいくつも」達成してきたと例示している。
司法省の反トラスト局を担当するSharis A. Pozen司法副次官補は声明で以下のように述べている。「全国規模の高速データ通信を最初に展開するなど、T-Mobileは技術革新や機能強化などを通じて、大手通信キャリア間に競争を生み出す上で重要な役割を果たしている。この買収を阻止しなければ、競争や革新が低下し、消費者が損害を被ることになる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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