Oracleは現地時間9月10日、Wall Street Journal(WSJ)の欧州版トップページ広告において、Sun Microsystemsの顧客向けにメッセージを掲載した。
同広告では、今後もSunのハードウェアならびに「Solaris」ソフトウェア向けに多くの資金を投入していく方針が明示されているものの、特に「MySQL」については言及されていない。これは欧州の規制当局との関係緩和を狙って、意図的に省略されたのであろうか?それとも、何かOracleの意図を示したものなのであろうか?
一方、Oracleの最高経営責任者(CEO)であるLarry Ellison氏は、Sunのシェアを奪って成長を狙うIBMに対して「われわれは勝利を目指して進んでいる。IBMよ、われわれはハードウェア事業で競争を繰り広げられることを楽しみにしている」との警告を発した。
Sunの事業は、Oracleによる買収をめぐる一連の不確実性を嫌気して大きなダメージを受けてきた。今回出された広告は、(Sunの)顧客を安心させ、より安定性を求めて、IBMやHewlett-Packard(HP)との契約へと逃れてしまうことがないように引き止めることが明白な目的となっている。
したがって、OracleがMySQLについて何ら保証していない点は興味深い。これは単に、Oracleによる買収がSunのMySQL事業に及ぼす影響に関して詳細な調査を進めてきた欧州連合(EU)の怒りを回避するための慎重な行動であるのかもしれない。
あるいは、MySQLの顧客が抱く心配を和らげるなどそれほど重要なことではないとのOracleの認識を示すものであるのかもしれない。MySQLは、Sunによって買収された時点で、およそ1億ドルの売り上げを記録していた。一連のOracleによる買収手続きが長引けば、Sunがハードウェア事業で数十億ドル規模の損失をこうむる可能性が高いことを考えれば、MySQLが数千万ドル規模の損失を記録する危険など小さなものである。
また、OracleによるSunの買収によって、MySQLの普及が遅れることになるかどうかに関しては、何ら確たることはわかっていない。オープンソース開発コミュニティの一部はOracleによる買収に異議を唱えてきたが、テクノロジに精通したウェブクラウド層が多いMySQLの顧客ベースから、買収がMySQLの事業に及ぼす影響を懸念する声が上がっているのを、まだ筆者は耳にしたことがないのだ。
Oracleの広告は、引き続きSunの製品を購入しており、おそらくは全社でMySQLを導入するかどうかに関しては方針が定まっていない最高情報責任者(CIO)層に対して、安心感を高める目的で出されたものである。もちろんある時点では(MySQLについても)方針が定まることだろう。だが、その頃までには、OracleによるSunの買収も完了していなければならない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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