ネットレイティングス、アナリストによるCGM分析サービス「BuzzMetrics」を提供

鳴海淳義(編集部)2009年07月30日 15時55分

 ネットレイティングスは7月30日、インターネット上の消費者の意見(CGM)を分析するサービス「BuzzMetrics」日本語版を提供開始した。

 BuzzMetricsはオンライン上で議論が交わされている特定製品、サービス、ブランドについての「話題性」「その話題の好意度」「その評価の背景要因」を探ることができる。

 BuzzMetricsはすでに米国、英国、ドイツ、スペイン、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドでも提供されており、今回日本と同時に中国でもサービスを開始したため、欧米とアジア圏のCGMを横断的に同一手法、同一定義で分析できるという。

 BuzzMetricsの特徴は、Nielsen OnlineのCGM分析専門アナリストがクライアントの持つ課題についてコンサルティングを行ったうえで調査を設計し、分析を実施する点にある。アナリストによる最終チェックを経た確度の高い感情分析が可能だとしている。

 BuzzMetricsのクローラーは世界中のオンラインメディアからデータを収集する。日本版ではブログ、掲示板、Q&A、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、ユーザーグループ、トラディショナルメディア(新聞、雑誌の記事)、YouTube、Twitterなど約200サイトを対象としている。2009年7月時点でブログ190万記事、掲示板40万メッセージがクロール可能となっているという。

 データ更新頻度は日次更新で、最大で過去2年にさかのぼってデータを収集できる。スパムにはパターン認識による自動排除とアナリストによる手動排除の2つの手法で対処する。

 ネットレイティングスが提供するほかのサービスとも連携する。たとえば視聴率調査「NetView」やオンライン広告統計「AdRelevance」と組み合わせれば、CGMでの話題数とネット視聴率およびオンライン広告投入との関連性が把握できるという。

 BuzzMetricsのサービス形態は、アナリストによるインサイトレポート(アドホックレポート)と、ダッシュボード機能を搭載したASPサービス「My BuzzMetrics」の2種類がある。

 アドホックレポートの場合は下記の6項目の測定指標を提供する。

  • Buzzボリューム分析
    月次、週次、日次によるキーワード(ブランド、製品、サービスなど)を含んだ記事のボリュームを時系列で調査。ボリュームが増加した要因も合わせて分析する。
  • 好意度分析
    指定したキーワードが記載された記事の好意度をポジティブ、ネガティブなどに分類。ポジティブ、ネガティブに語られる主な要因を特定する。
  • 記述内容ボリューム分析
    収集した記事が、どんな話題について記述されているのかを内容ごとに分類。指定したキーワードがどのように消費者に認識されているのかを把握する。消費者がどの消費行動ステージにいるのかも分類可能。
  • 記述内容分析
    分類した記述内容ごとに実メッセージを分析し、さらに詳細な傾向を把握する。
  • ブランド・アソシエーション・マップ(BAM)
    キーワードと関連した言葉の位置関係を視覚的に確認する。
  • インフルエンス分析
    特定の話題に対する書き込みの多いメディアの特定。引用数の多い記事を特定することで影響度合いを分析する。

 これらの測定指標をクライアントの課題やニーズに基づいて組み合わせ、ブランド調査レポートや新製品分析レポート、イベント効果分析レポート、キャンペーン効果分析レポートとして提供する。

 ASPサービスでは、クライアント自身がCGMをリアルタイムでモニターするためのダッシュボード「My BuzzMetrics」を提供する。オンライン上でキーワードを設定し、ボリュームやトレンドを調査できる。いくつかのレポートをダッシュボードに登録しておくと、定期的に自動更新される。

 Nielsen Company プロダクトマネージャのショーバナ・スリニワサン氏は、BuzzMetricsの日本版を提供する理由として、日本におけるCGMのポテンシャルの高さを挙げた。マッキャンエリクソンの調査によると、ブログを読んだ経験のある人の割合は日本では84.4%にのぼるという。これに対して米国は60.3%にとどまる。またCGMを閲覧する頻度では、日本はブラジルに次いで世界第2位だという。

 「これらのデータを見るといかに日本人がCGMに関与しているかがわかる。日本の消費者はブログに目を通し、その内容に影響を受けている。広告主、メーカーに対する影響は計り知れない」(ショーバナ・スリニワサン氏)

 BuzzMetrics日本版の提供に先立ち、自主調査として「エコロジー製品・ハイブリッドカーBuzz分析」を実施したところ(調査期間は2009年1月〜4月)、以下のようなことがわかったという。

 ホンダのハイブリッドカーのインサイトとプリウスのBuzzボリューム・トレンドには高い相関関係が見られた。2車種を常に比較しながら語られていた状況が伺えた。

 インサイト、プリウスともよく語られている内容は「価格と燃費」。インサイトの価格については好意的なコメントが多く、価格の高いハイブリッドカーのイメージを変えた。

 CGMにプリウス、インサイトに関する意見を述べた消費者が接触した情報源の中では、ブログとニュースの割合が高かった。次いでテレビ広告、ウェブサイト。プリウスの予約受付が4月1日(発売は5月18日)開始のため、プリウスは「ブログ」の接触割合がインサイトに比べて多くなっている。

Buzz記事件数(ボリューム)の週間トレンド(2009年1月〜4月)Buzz記事件数(ボリューム)の週間トレンド 2009年1月〜4月(クリックすると拡大します)

 サービスの提供価格はアドホックレポートが250万円から(レポート内容、対象国により変動)、My BuzzMetricsが月額30万円からとなっている。

 ネットレイティングス代表取締役社長の千葉尚志氏によれば、CGMという言葉はもともとNielsenが創り出したものだという。「10年におよぶCGM分析の経験で得た知見を通して、世界規模のCGMを対象とする、より良い分析をお客様に提供していきたい」としている。

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