2007年夏に液晶テレビメーカーのトップに躍り出たVizioは、年末までに北米液晶テレビ市場の3番手にまで後退し、現実の厳しさを味わうこととなった。
しかしながら、液晶テレビ業界の市場調査を手がけるiSuppliからの最新データによると、再びVizioは、拮抗する競合メーカーへの価格攻勢を強めてきているようだ。
2008年第1四半期の(液晶テレビ)トップベンダーの出荷台数シェアでは、サムスン電子の出荷台数シェアが13.9%で首位に立ち、その後にソニーの13.7%、Vizioの13.5%と続いている。3社のシェアは、0.3ポイントの差で争う形になっており、2007年第4四半期に、1.8ポイントの差で争っていた時とは対照的である。
経済事情が悪化するにつれて、多くの消費者が、薄型テレビのような贅沢品の購入に回せる収入の減少を経験しており、より低価格な製品が好調な売れ行きを見せそうである。Vizioは、主に会員制ストアやWal-Mart Storesなどの、バーゲンセール中心の販売網を確保して、業界他社に勝るポジションを固めている。さらにVizioは、幾十億ドルもコストがかかるパネル製造工場の建設、維持管理を行わないことで、経費節減を実現している。その代わりに、Vizioは、製造工場を保有する他社から、液晶パネルを購入している。
ソニーとサムスン電子は、より低価格の液晶テレビを自社で提供することにより、すでにVizioの価格攻勢に反撃している。しかしながら、同じようにはVizioの脅威に応じられなかった他のテレビメーカーにとっては、北米液晶テレビ市場での事業が、ますます困難なものとなってきている。
Philipsは、Vizioが仕掛けた価格攻勢の圧力に最初に屈し、北米では自社製品の液晶テレビの製造販売を行わないと、2008年4月に発表した。代わりにPhilipsは、低価格液晶テレビベンダーとなる船井電機に、同事業を引き継いだ。
2008年第1四半期における液晶テレビの出荷台数は、560万台と全体的に低調で、前年同四半期の796万台の出荷台数からは後退したと、iSuppliは明らかにしている。同業界にとって、第1四半期は常に厳しい状況にあるが、第2四半期の見通しも、それほど良いものではなさそうだ。
iSuppliは、北米における2008年の通年の出荷台数は、前年比26.6%増となる2740万台にとどまるとの予測を発表した。この数字は、2007年に記録した前年比88.8%増、2006年に記録した前年比92.6%増の成長からは、かなりの後退である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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