米独立系監視団体、YouTubeの調査に乗り出す--著作権侵害で

文:Greg Sandoval(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年06月12日 17時32分

 元検事のKen Boehm氏は何週間もビデオクリップを求めてインターネット中を駆け回った。

 しかし、Boehm氏はYouTubeのファンというわけではない。同氏は、米国の首都ワシントンDC内の汚職の摘発で知られる独立系監視団体National Legal and Policy Center(NLPC)の会長を務めている。

 NLPCが摘発した事件で最も有名なのは、恐らく、2003年に発生した米空軍と米航空機大手Boeing間の総額210億ドルに上る不正取引事件だろう。この事件では、Boeingの2人の幹部に懲役刑が言い渡された。NLPCは、米国政府内の汚職以外の問題にも目を向けており、最近、動画共有サイトYouTubeを傘下に持つGoogleに対する著作権侵害の調査に乗り出し始めた。

 メディア企業各社はGoogleに対し、YouTubeのユーザーたちに映画やテレビ番組のビデオクリップを同サイトにアップロードさせないようにするための対策を強化するよう強く求めている。YouTubeの競合サイトの多くは、海賊版コンテンツを選別するフィルタリング技術をすでに導入している。コンテンツ製作者たちは、Googleに対してもフィルタリング技術の導入を要求し始めている。

 Boehm氏(58歳)は、「膨大な額の知的財産権の価値が、財産権の所有者の認識や承諾なしに奪われている」と述べた上で、「これまでGoogleは、知的財産権の所有者に対し、YouTubeに投稿された彼らのコンテンツを彼ら自身が追跡することを強いてきた。これは一種のモグラたたきゲームだ。やはり、(違法コンテンツを取り締まるための)より公正な手段が必要だ」と指摘した。

 この問題についてGoogleとYouTubeを批判しているのは、主に大手メディア複合企業だ。NLPCは、著作権者の立場からこの問題に介入した最初の独立系組織の1つと考えられている。

 市民や企業からの寄付を財源とし、デジタル著作権問題の周知活動を行っている電子フロンティア財団(EFF)は長年、YouTubeの幹部らは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の文言に従い、著作権者から報告を受けたら直ちに侵害行為を除去すべきだと主張してきた。

 これに対しGoogleは声明で、「DMCAは、YouTubeのようなウェブホスティングサイトよりも著作権者の方が、彼らのコンテンツをはるかに監視しやすい立場にいることを認めている」と述べている。

 Boehm氏は、現時点では、なるべく多くの問題を起こして(著作権侵害に対する)人々の関心を集めたいだけだと語る。

 最初の取り組みとして、同氏は全編が公開されている125本以上の映画やテレビ番組の動画をリストにまとめた。同氏の見積もりによると、これらの動画は、著作権保有者に対して1億5000万ドルの損害になるという。同氏のリストには、Warner Brosの「ブラッド・ダイヤモンド」やParamount Picturesの「Juice」、NBCの「The Office」が含まれている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ

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