ウェブサイトがブランディングに活用されるようになってから、まだそれほど年月が経ったわけではない。にもかかわらず、インターネットの特性を活かした様々なブランディングの手法が次々と生み出されている。
これらの手法は、ブランド構築という目的に沿って理解し位置づけることによって、より効果的に活用できるものと考えられる。そこで、本連載では、ブランド理論の基本的な部分を紹介しながら、従来のブランディング手法とウェブブランディングとの共通点や特徴を明らかにしていくこととしたい。
ブランドという言葉は、もともと古期スカンジナビア語の「Brandr(焼き付ける)」という言葉に由来するといわれる。焼印は、牛の所有者が自分の所有する牛と他人が所有する牛を区別するための手段として用いられた。また、中世の陶工は、自分たちの作品である印として、陶器の底に独自のサインやマークを入れたという。
このように、ブランドは売り手の製品を他人のものから区別する手段として発達した。そして、次第にブランドを持つ製品の価値が高まっていったのである。
このようなことから、ブランドという言葉は主に次の3つのことを指している。
ブランドには出所表示、品質保証、情報伝達という大きな3つの機能がある。
【出所表示機能】
ブランドの第1の機能は、その製品やサービスは誰が製造、あるいは提供しているのか、という出所の表示である。同じブランドの製品であれば、同じ業者が製造、販売していることがわかる。もちろん、今日では製造は外部に委託されている場合が少なくない。その場合でも、ブランドがあれば製品としての同一性は保たれていることがわかる。
インターネットという匿名性の高い世界でも、出所が明確であることは信頼の大きな源泉となる。従って、企業のウェブサイトや新聞社のサイトは信頼度が高く、ブログでも筆者が明らかなものは信頼度が高いといえよう。
【品質保証機能】
ブランドの第2の機能はサービス品質の保証である。買い手は同じブランドであれば約束された品質の製品であると考えることができる。ブランドはこうした購買者の期待を保証する役割を果たしている。
価格比較サイトで最安値で購入しようが、それより高い価格で購入しようが、同一メーカーの同一商品であれば中味は同じはずである。このように、価格比較サイトはメーカーの品質保証があるからこそ成り立っていると考えられる。
【情報伝達機能】
ブランドの第3の機能は製品の情報を伝達することである。優れたブランドネームや効果的なパッケージデザインなどはそれ自体が強力な情報伝達手段である。マーケティング活動を通じて消費者に商品情報が伝わると、消費者がブランドに接したときのアピール力は著しく増幅されることとなる。
ウェブサイトを通じて消費者が受け取った情報も、当然ブランドの情報伝達機能を強化することに大きく役立つ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス