5つのペルソナの開発が完了し、そのペルソナを活用したリード・ジェネレーションを行うわけだが、まずはFatWireのビジネス領域であるCMS市場の「環境研究」として、日本における普及のプロセスを整理してみよう。IT系のメディアで、CMS製品の比較記事は2004年から出現し、導入希望ユーザーがCMS製品の比較をはじめ、選択が容易になり普及が加速した。
2004年から2005年頃は、この連載の『第3回:「5つのペルソナ+1」を選択』で5つ(※)に分類したCMS活用の(2)(3)として挙げた「コーポレートウェブのサイトでの更新ツール」としての普及から、CMSの活用は始まった。
コーポレートウェブにはIR、会社情報、製品情報、FAQがあるが、広報部門で運用することが前提で導入されたCMS(以下、広報CMSと呼ぶ)が多い。5年間を経て、2008年にはCMS Conference 2008というCMS専門の日本最大のイベントが開催され、広報CMSはピークを向えた。
景気後退などから、2009年はマーケティングに活用する「マーケティングCMS」の時代が始まったといわれている。詳しくは解説しないが、広報CMSとマーケティングCMSでは、ベースとなるアーキテクチャや基礎技術が違う。広報CMSなら静的配信、ページ単位の管理でも対応はできるが、マーケティングCMSは動的配信、コンテンツ単位で構造化されたデータベースが必須となる。
広報CMSを得意としたCMSベンダーがマーケティングCMSにシフトするには、アーキテクチャや基礎技術の違いというイノベーションジレンマ(※)を乗り越える必要がある。また、それ以上にCMSの実装プロジェクトは広報CMSとマーケティングCMSでは本質が違うためイノベーションジレンマが大きく、実装CMSの乗り換えも必須であろう。
以上のCMS市場の環境研究からFatWireが開発した5つのペルソナ毎にリード・ジェネレーションを行うのだが、まずはケースA、Bの2つの手段からはじめた。
ケースAは雑誌広告という手段で、インターネットが普及する以前のIT業界では雑誌広告を出すと、広告に「資料請求番号」があり、その番号をハガキに記入して出版社に送ると、出版社はまとめて広告主にリードを提供する仕組みがあった。この仕組みが有効に機能することで、雑誌には多くの広告が出稿され、雑誌の種類は増えていった。
ところがインターネットが普及することで、ユーザーがウェブから直接資料を得ることができるようになり、このモデルは崩壊した。IT業界の雑誌広告は知名度、認知度の向上などを目的とするようになり、マス広告化したのである。
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