FatWire株式会社で自社のペルソナを開発するにために、まずはCMS構築事例として発表されているものをグルーピングし、自社CMSユーザーと比較してみた。他社製品の発表された事例を整理すると、以下の5つぐらいのパターンになる。
(1)はオープンソース、Movable Type、WebReleaseの事例が多数。(2)はNOREN、HeartCoreの事例がある。(1)のMovable TypeやWebReleaseも(2)の事例があるため、CMS製品の価格は5万円代から400万円代までバラツキがあるが、CMSがコモディティー化する中で、(1)(2)の分野では商品や実装価格さえも低価格競争が起きている。
(5)の自治体のCMS事例はALAYA、DBPSなど日本製のCMS事例が多いが、企業で利用するCMSと自治体で利用するCMSにはそれほどの機能差がないため、コンテンツ作成者が多数で多くの部門が参加するような複雑なものでない場合、(5)は(1)(2)と同様にコモディティー化する可能性もある。
(3)はInterwoven、FatWireのCMS事例が多い。(4)はBtoEであるため事例があまりオープンにされていないが、NORENがセミナーで事例発表を行うことがたまにある。
(1)〜(5)の発表された事例に共通な点は、いずれも「広報部門」が主管でCMSを導入することである。広報部門は、企業のステークホルダーと呼ばれるすべての人に正確な情報を伝える必要があるため、CMSのニーズが強い。
ここでFatWireはペルソナ(※)をどう考えるべきだろう。
(1)から(5)のすべてをペルソナにすべきだろうか。FatWireが得意とし、顧客満足を与えれるユーザーをペルソナにすべきだろうか。企業の大小、企業の種類(営利、公共)、企業の業種を考慮すべきだろうか。
発表されたCMS事例を、業績評価システムのバランススコアカードの4つの視点、「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」で考察すると、(1)〜(5)はサイトの更新作業が楽になるという点で「業務プロセスの視点」への影響は大きい。サイトの更新が楽になれば更新頻度も上がり、サイトへのアクセス数も増加する。
(3)の事例には製品情報データベース(PIM:Product Information Management)が構築され、FAQなどが充実することで顧客エクスペリエンスが高まるという「顧客の視点」への影響が大きいものもある。また、ホールディングカンパニーにサーバーを集約することでコスト削減を行い「財務の視点」への影響が大きいものも含まれている事例が多い。
(3)以外のCMS事例は、
というニーズから導入されたCMSが多い。逆にそれ以外の利用事例は日本では現段階では少ない。
FatWireのCMSにはいくつかの特徴がある。
特徴1:ウェブサイトにアクセスした人毎にコンテンツを表示する(パーソナライズ、動的配信)
特徴2:コンテンツデータベースとして製品情報データペース(PIM)を構築できる(フレックスアセット)
特徴3:インストールサーバーのCPU数で価格が決まる(静的配信から動的配信へ拡張)
これらの特徴はウェブサイトを「業務プロセスの視点」から見た場合は、(1)(2)にはオーバースペックで、逆に5万円ぐらいのCMSで実装すれば済んでしまうこともある。
(3)には特徴3が不可欠である。ホールディングカンパニーにCMSを導入し、支配下の会社のサイトを集中管理する場合に、編集者の数や、サイトの数で課金されては導入が不可能だ。
(4)は現在中途半端な事例しかなく、ID管理と連動された本格的なCMS事例がまだオープンにされていないためここでは省く。
(5)の大規模なものになると特徴3は不可欠である。
逆にウェブサイトに「顧客の視点」を求めた場合は、(1)(2)(3)では特徴1、2、3は不可欠になる。ウェブサイトは顧客エクスペリエンスを高めることが目的なのが本来の姿で、欧米ではそういう事例が多い。
(1)〜(5)は広報部門に「業務プロセスの視点」から導入されることが多いため「広報CMS」と呼ぶことにする。これまでの考察で広報CMSにおけるFatWireのペルソナは(3)に絞り込まれた(業種を意識しなければ(5)の大規模なものと同じ)。他社CMSを含めて発表済みの事例から、
となった。
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