FatWireならではのCMS導入ユーザーから、他のペルソナも選択した。
●選択された5つのペルソナ
ペルソナ1:複雑なコーポレートウェブを必要とするユーザー
ペルソナ2:紙媒体・携帯・デジタルサイネージなどへワンソースマルチユースしたユーザー
ペルソナ3:世界数十カ国に多言語サイトを構築したユーザー
ペルソナ4:ECサイトなどの会員管理とCMSを連動したユーザー
ペルソナ5:ERPなどの基幹とフロントのCMSを連動したユーザー
そして、もうひとつペルソナ開発を検討中なので「5つのペルソナ+1」がこれで選択できた。連載『第1回:環境研究の手法--景気後退期に重要な3キーワード』でも解説を行ったが、FatWireは基本的にひとつのCMSを販売する会社で、そのひとつの製品に対して「5つのペルソナ+1」を選択したのである。
次のステップとしてペルソナをどうやって開発するかであるが、連載『第2回:マーケティングの「目的・手段」と「ペルソナ」』にある「少数モデル法(※)」にあるように、ペルソナ開発もバーチャルで行ってはいけない。デプスインタビュー(※)で顔を見て得た情報から開発するものである。
図1の2つは、ペルソナ開発をインターネットのFAQサイトなどを利用し、質疑応答から開発する会社があるが、これはペルソナの本質を逸脱している。左のアバターにインタビューを繰り返しても、悲しくても笑顔の顔マーク、うれしくても涙マークと「顔文字」では深層心理は判断できない。
図1の右の女性の顔の表情は「悲しい?」「普通?」「楽しい?」と、デプスインタビューにより顔の表情を読むことで次のインタビューも想定でき、これを繰り返すうちに、顔の表情、身体の動き、声のトーンなどからマスクドニード(Hidden needs、※)が把握できる。これがペルソナ開発で最も必要なことであり、ペルソナの本質である。
ペルソナの開発はKJ法などに馴れているなら、自社で開発方法を習得するのもひとつの方法である。FatWireはペルソナデザインコンソーシアムのメンバーから選択し外注した。ペルソナ開発会社の選択のポイントは実績はもちろんだが、開発されたペルソナの質も重要である。これはCMS構築会社の選択にも通じることだが、広報CMSの構築実績が多くあっても、FatWireが選択したペルソナ2、3、4、5のCMS実装とはプロジェクトの質が違うため、逆に広報CMSの実績は足かせになる場合もある。これも連載中に「イノベーション・ジレンマ」としてまとめる予定である。
連載第4回は開発されたペルソナをリード・ジェネレーションに利用した2つの事例(ケースA、B)をまとめる。
1959年岐阜県生まれ。1983年、米国ソフトウェアをベースにしたVAR(Value-added reseller)を設立。1990年代、イスラエル製ソフトウェアの日本市場へのマーケットエントリー、および日本からのイスラエルハイテクベンチャー企業への投資事業に尽力。2002年からコンテンツマネジメントの分野へシフト。divine日本法人を経て、2003年、CMSベンダーFatWire Software(Mineola, NY)の日本法人FatWire株式会社の代表取締役に就任。「B to B ECが会社を変える」(技術評論社)など18冊の著書あり。システム工学を専門とする。
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