図3は、価格.comでPCを探していた被験者B(男性、20代後半)の視線の動きです。口コミが書かれているページに到達するまでは、トップや右上に出ているPC関連の広告に視線を向けていました。アイトラッキングテスト後のインタビューでは、「PCを探していたときに出てきた広告なので見た」と答えています。
図4は、ニコニコ動画(ニコ動)を閲覧中の被験者E(男性、20代後半)の視線の動きです。動画再生前に表示される広告が注視されていることがわかります。事後インタビューでも「この広告はとても印象が強かった」と答えています。
また、動画視聴後は視線が下部に移動し、アフィリエイト広告の「ニコニコ市場」も注視しているのがわかります。被験者は「アルパカのパロディ動画のページでアルパカの表紙の本(「初めてのPerl」)が紹介されていたので、おかしくてつい見てしまった。ニコ動では、面白い広告があるとつい見てしまう。ニコ動のバナー広告には、ニコ動のキャラを使った『ニコ動オリジナル』バージョンがあって面白い」と答えています。
動画再生中にページ内を色々見てしまったという経験のある人もいるのではないでしょうか。動画の貼ってあるページのように、1ページあたりの滞在時間が長いページでは、本来の目的以外の要素にもつい目がいってしまうようです。
また、被験者Eが答えているように、そのメディアのターゲットに合わせて広告をカスタマイズする手法(例:ニコニコ動画で人気のキャラクターを使ってほかのサイトに掲載しているものとは別の広告を作る、など)は、クローズドコミュニティのユーザーに刺さるのかもしれません。
今回のテストで、見られた広告とそれにまつわる要素、状況をまとめました。
ニコニコ動画では、前述した広告のカスタマイズ化だけではなく、特定の時間になると再生動画が一時停止し、広告が流れる「ニコ割(時報広告)」の販売など、ユーザーに見られる広告枠の開発に取り組んでいます。サイトを設計する際、「Yahoo!のブランドパネルが右上だから自社のサイトも同じ場所にしよう」というように、つい「広告はココ」と単純に決めてしまいがちですが、自社サイト内のコンテンツや要素を考えた上で、「どこに配置したら見られるのか」「どんな広告だったら見られるのか」を意識することが重要です。
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