その検索キーワードは非常識?--海外プロモーションで注意すべきポイント

島津健三(アウンコンサルティング)2015年04月15日 08時00分

 この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックをお届けします。

 今回は日本から、インターネットプロモーションを実施する際に必要になる「キーワード」について、タイ台湾の事例を踏まえ、日本との違いについてご紹介します。

タイ人の検索エンジンの使い方

 もうすぐゴールデンウィーク。長期休みで、どこに行こうかと計画をしている読者の方も多いのではないでしょうか。東京のどこに行こうか……そう考えた時に、検索エンジンの検索窓に「東京 観光」や「東京 レストラン」など、単語ごとに検索キーワードを入力して検索をする人が、日本では多いのではないかと思います。

 一方タイの人々は、例えばタイの首都であるバンコクに遊びに行こうとした時、多くの人が「バンコクへ行く」など、単語+動詞の検索キーワードを入力します。実際の検索数は次の通り。

  • 検索キーワード「ที่เที่ยวในกรุงเทพ(バンコクへ行く)」約8500回/月平均
  • 検索キーワード「กรุงเทพ ท่องเที่ยว(バンコク 観光)」約35回/月平均

 「バンコクへ行く」が月平均で約8500回検索されているなど、多くの人が単語+動詞のキーワードで検索をしていることが分かります。一方、「バンコク 観光」と単語+単語の検索数は月平均約35回と、その差は一目瞭然です。

 参考までに「バンコクへ行く」の年間検索推移をグラフにまとめました。2014年3月~2015年1月の間では、12月に一番多く検索されています。


 タイの人々が検索キーワードを単語+動詞で入力して検索をする理由として、掲示板やブログに書かれる、いわゆる口コミの情報を重要視していることが挙げられます。

 実際に「バンコクへ行く」とGoogleの検索エンジンで検索をすると、上位に出てくるウェブサイトの多くは掲示板サイトです。

 タイの人々は、「バンコクでどこに行こうか」「バンコクで美味しい日本食が食べたいな」など、予定がざっくりとしか決まっていない時は、文章で検索をして、他の人の体験談を参考にすることが多いとのこと。目的がはっきりしている場合は、日本と同じように単語+単語を組み合わせたキーワードで検索をするようです。

 上述のタイの文化を顕著に表しているが、美容医療業界。日本で美容整形について調べる際には、多くの人は「美容整形」など、単一キーワードで検索をするのではないかと思います。

 しかしタイでは「เสริมจมูก(鼻を高くする)」という検索キーワードが、なんと月平均約3万回検索されています。一方「美容整形」の単一キーワードはというと、月平均わずか約20件しか検索されておらず、「鼻を高くする」の約1500分の1のという結果でした。

 Google検索エンジンで「鼻を高くする」を検索をすると、こちらは口コミサイトだけではなく美容医療医院のウェブサイトも多く検索結果上位に出てきます。このように、業界によってはこのようなタイの人々の検索方法を理解した上で、インターネットプロモーションの対策をしていることが考えられます。

台湾の検索エンジンの使い方

 台湾の多くの人は、日本と同じように単一の単語や、単語+単語の検索キーワードで検索をします。

 ここでご紹介したいのは台湾の不動産業界のトレンド。台湾ではマンションより一戸建てがポピュラーであることが、検索数から見えてきます。

 日本では、特に都内でマンションが多く建設されており、円安の影響で海外の投資家からのマンション投資(不動産投資)もあります。日本における検索キーワード「マンション」の月検索数は約6万2000回。一方、検索キーワード「一戸建て」の月平均検索数は約1万4000回となっており、日本では一戸建てよりもマンションに興味関心を抱いている人が多いことがうかがえます。


 それでは、台湾ではどうなのでしょうか。日本と同じように「公寓(マンション)」という単語で台湾におけるキーワード検索数を調査したところ、月別検索数は約2000回に対し、検索キーワード「房屋(一戸建て)」の月別検索数は約1万2000回となっています。

 このように、台湾の人々が興味を抱いているのはマンションよりも一戸建てだということを、検索数の観点から述べることができます。


インターネットビジネスも「日本の常識は世界の非常識」

 「日本の常識は世界の非常識」という言葉があります。この言葉は、海外に行くと、いつもは当たり前である日本の慣習は通用しないことを意味していますが、インターネットにおいてもこれが言えるのではないかと思います。

 世界中でインターネットの普及が進んでおり、それに伴いインターネットを用いてビジネスを展開する人も増えている現状。上述の事例のように、その国でのインターネットの活用方法やトレンドを理解し、インターネットプロモーションの第一歩である検索キーワードの選定をすることが成功するカギなのかもしれません。

島津健三(しまづ けんぞう)

アウンコンサルティング

2007年12月アウンコンサルティング入社。

検索エンジンマーケティング(SEM)事業で、コンサルタント、営業を経験。金融、美容業界などBtoCを中心に幅広い業界の導入支援実績を持つ。

現在はエキスパートマネージャーとしてグループを統括し、グローバルマーケティング戦略の立案・実行に携わる。

最近の趣味はジョギング。平日は忙しく運動不足になりがちなので、週末は決まって、近所である多摩川沿いを走っている。



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