ベクトルは11月6日、同社が所属する日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が「インターネット広告掲載基準ガイドライン」を改訂した3月以降に、ガイドラインに適していない案件が存在していたと同社ウェブサイトで報告。「教育や管理が不十分であったため、このような問題が発生したと認識」しているとし、「再発防止に向け、ガイドラインの遵守及び社員の教育・管理の強化」をすると文面でコメントした。
11月9日に電話取材を申し込んだところ、ベクトルは一連の報道や同社の活動について明確に説明したいとし、面会しての取材を要望。同日夜、記者がベクトルに赴いた。
担当者は「ベクトルが編集協力費の名目で媒体社に金銭を渡して記事化の進行を図った事案が複数見つかった」としながらも、具体的な件数は「調査中」だとして明かさなかった。また、それらの事案のうち、「どこまでがノンクレジット(ここでは、ベクトルが媒体社に編集協力費を支払っているにも関わらず、媒体社が広告表記を付けていない記事)かを判断するまでには調査が進んでいない」とし、現在判明している案件の内容については「個別の案件」だとして回答を控えた。
ベクトルは「編集協力費」を、交通費など取材時に必要となる費用の一部をベクトル側で負担するものとしており、「記事掲載」そのものに対して支払うものではなく、また記事の内容をベクトル側がコントロールするものではないと説明している。
こうした一方で、週刊ダイヤモンドが11月7日号の特集「ステマ症候群」で報じた内容については、ノンクレジットの記事を一部のウェブメディアに掲載していた事実のみ認めた。また、「ステマ」という表現に関しては、定義が明確でなく、読者に与える印象が実態と異なるとして、あらためて否定した。
ベクトルはダイヤモンドへの法的措置を引き続き検討しているが、「不適当な案件があった事実を確認できた段階であり、今後どうするかはわからない」としており、「不適当な案件が厳密につかめるように調査を続ける」とした。
JIAAがガイドラインを改訂する3月以前に、いつからそのようなプロモート活動をしていたかとの問いに対しては、「商習慣」であったことを強調し、「普通のこととして存在していた。調査ではさかのぼれない」と答えた。
こうした商習慣について、他の複数のPR会社の社員に聞くと、「過去に(ベクトルと同様の活動を)していた」と話す人がいる反面、「商習慣ではない」と否定する人もいる。
JIAAは3月にネイティブ広告の掲載に関わる事業者の指針となる「インターネット広告掲載基準ガイドライン」の改定版と、新たに策定した「ネイティブ広告における推奨規定」を公表。消費者保護の観点から広告表記のルールなどを明確に規定した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス