PR会社のベクトルは11月2日、同日発売の経済誌「週刊ダイヤモンド」11月7日号の特集「ステマ症候群」の内容について、記事に書かれた同社の活動や一部取引先の記述に事実と異なる表現があるとして、同社ウェブサイトで見解を発表した。
特集では、ベクトルがノンクレジット広告(広告表記のない広告記事)を手がけているとされ、ベクトルの内部資料とされるものや元社員による証言をもとに、その発注先の可能性があるウェブメディアや、クライアント事例などが記されている。内部資料は、ベクトルが作成したとされる「ニュース記事の売買相場表」で、一部のウェブメディアとそのノンクレジット広告のベクトルによる掲載価格などが明かされている。
ベクトルは、「弊社を含めPR業界におけるメディアとの取引は、広告枠を購入するという形ではなく、必要に応じて編集協力費を支払うという商習慣が存在している事は事実であり、弊社もその慣習に従った活動を一部しておりました」とメディアに広告費でないお金を支払っていたことを認めたものの、「編集協力費を支払う事が、記事の内容やクレジット表記の有無を決めるものではなく、それらは最終的に編集権を持ったメディア側の判断に委ねられるものであり、我々PR会社がコントロールできるものではございません」と特集内容に反論している。
「編集協力費」との言葉について、ベクトルの担当者は、交通費など取材時に必要となる費用の一部をベクトル側で負担するものであり、「記事掲載」そのものに対するものではなく、「取材いただくために必要な資金、といった意味合い」と説明した。
週刊ダイヤモンドに対しては、「ステマの定義も定まらず、違法行為ではないとしながらも、弊社が行っているPR活動が生活者を欺く行為であるかのように誇張された表現がされている点、業界全体の慣習の話にも関わらず弊社一社のみを特定し攻撃している点、さらには今回の記事掲載に至る取材方法が公正性に欠ける点など、弊社としては誠に遺憾であり、法的措置を含め検討する所存でございます」とコメント。
ベクトルの担当者は、「顧問弁護士と相談している段階。まずは事実関係を確認し、場合によっては法的措置をとる必要のある事案だと認識している」と話した。
ベクトルを巡っては、同社の投資家向け資料に「ノンクレペイド 記事タイアップ」または「Tieup(ノンクレジット)」の発注先として自社グループのメディアが紹介されたとして、10月14日、「Gizmodo Japan」や「ライフハッカー[日本版]」などを運営するインフォバーングループが抗議の文書を掲載。同日、ベクトルはお詫びを掲載し、「弊社と当該メディアの間においては資料内及び記事内に記載されているような取引は存在いたしません」と否定。当該部分の表現を訂正した。
週刊ダイヤモンドが報じた内容との関連性について、ベクトルの担当者は「別の話だと我々は理解している」と話した。
ベクトルは2012年3月に東証マザーズ市場に株式を上場。2014年11月に第一部に市場変更した。この度の週刊ダイヤモンドの報道について「業績に対する影響はないものと考えております」と見解の中でコメントしている。
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