「iTunesがDVDの代わりならJoostはTVの代わりに」--Joostの新CEOインタビュー - (page 2)

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年06月20日 08時00分

――しかし、AppleのiTunesも似たものを提供していませんか。見たいものはAppleから買うのでは?

 Joostの番組はリアルタイムで放映されます。iTunesは、見る前にまずダウンロードしなくてはなりません。また、iTunesでは動画にはお金を払う必要があります。Joostは無料で、全て広告で維持されています。ですから、iTunesはインターネットがDVD市場を置き換えることを可能にするのに対し、JoostはこれまでのTVの代わりになります。

――では、ストリーミングされたビデオクリップで広告を見なくてはならないということですか。

 そうです。定期的に流れる広告を見なくてはなりません。その代わり無料です。Joostが広告主にとって素晴らしいのは、視聴者はIP(Internet Protocol)アドレスを使って接続しているので、みなどこにいるか正確に分かることです。また、彼らが過去に何をどれだけの間見たかということも分かります。このため、何百万というテレビ視聴者に同じ広告を流すのではなく、広告主は正確な、視聴者に合った広告を、特定の個人に向けて流すことができます。ですから、誰かの隣にあるラップトップの前に座って同じものを見ていても、おそらく違う広告を見ることになるでしょう。

――あなたはCiscoでは、サービスプロバイダチームを率いて、電話会社やケーブル事業者にまで、巨大なハードウェアを売っていました。つまり、あなたはどちらかというとハードウェア寄りの人です。ビデオエンターテインメントについては何を知っているのですか。

 わたしは、Scientific Atlantaの製品ラインアップを管理していたときに、エンターテインメントやコンテンツ業界の案件を扱ったことがありますから、Ciscoに居たときからある程度はこの分野に触れています。わたしはメディアの専門家だと主張するつもりはありません。ですから、学ぶべきことは多いでしょう。そして、Joostにはメディアのことを非常によく知っている人が多くいます。しかし、Joostはかなりの技術も持っています。Ciscoはかなりのソフトウェアも持っていますから、わたしが単なるハードウェアの人間だというのは公平ではないと思います。そしてわたしは、エンジニアの管理にかけては少しは知っていると思いますよ。ちなみに、Joostには100人の従業員が居て、大半がエンジニアです。

 しかし、この仕事の多くは会社を動かし、成長を管理し、いい経営者になるということです。これについては、わたしはCiscoで多くの非常にいい経験を積んできていると思います。わたしは向こうではいい会社を経営していました。

――Web 2.0企業の多くは買収されています。Joostも独立したままでいるよりも、買収される可能性が高いのでしょうか。

 わたしは多国籍の大企業で働いた経験がありますから、もしわたしがやりたいことがなければここには来なかったでしょう。もしわれわれが正しく進めば、Joostは単独で大きく成長する企業に育つことが出来ると思います。

――Ciscoでは合併と買収についてもしばらく手がけていましたね。他の企業を買収してJoostを成長させることについてはどう思いますか。

 それはまだかなり先のことでしょう。われわれは、まだ物事を理解しようとしている小さな会社です。

――Joostの技術と戦略は、2008年にかけてどのように発展していくと思いますか。

 われわれはまだ50万人のユーザーを対象にベータ版を提供している段階です。今後しばらくはベータを続けるでしょう。おそらく完全なリリースは2008年になるだろうと思います。そして、われわれはビジョンを実行し続け、人々が面白いコンテンツを見られるようにしていく必要があります。

 われわれはすでにCBS、Viacom、Turner Broadcastや、他にもいくつかの大手コンテンツプロバイダを押さえています。また、いくつかのニッチなブランドも押さえています。今後も、コンテンツは増やしていけるはずです。コンテンツ制作者の間では、大変興味を持ってもらっています。それから既に、多くの広告主を獲得しています。われわれはHewlett-Packard、Nike、Procter & Gamble、Motorolaなど、すでに36の有名な企業を広告主としており、全てわれわれの試験サービスに登録してくれています。これは明らかに、彼らが興味を持ってくれていることを示しています。

――ユーザーはどうやってJoostのコンテンツを見ると思いますか。携帯電話でしょうか。それともPC、テレビですか?

 われわれが求めている層は、19歳から30歳のインターネットを使う、技術に詳しい人たちです。DVDをPCで見ているティーンエイジャーも多くいます。ですから、PCでJoostを見る人が多いのではないかと思います。

 しかし、このアプリケーションはブラウザを必要としないので、ローエンドのPCにテレビを繋いで、大きな画面で見ることも出来ます。ハードディスクを備えたテレビもありますから、これをイーサネットに繋いで見るということも出来るでしょう。高額なメディアセンターやそれを走らせるためのWindows機器も必要ありません。

――携帯電話はどうですか。Joostの番組を携帯電話で見ることはできますか。

 アプリケーションそのものは、500〜600Kbpsを必要とします。ですから、EVDOか必要な帯域を使える3Gネットワークがあれば、モバイル機器で見ることも出来るでしょう。しかし、Joostは計算機のパワーも必要とします。このアプリケーションは、ある程度のCPUでの処理を伴います。ですから、Joostをモバイル機器で提供するのは、明日には無理でしょうが、将来は可能になるでしょう。

――Ciscoはメデイア企業が消費者にIP技術を利用してサービスを提供するのを支援する、新しいメデイアソリューショングループを持っています。JoostがCiscoと一緒に活動する計画などはありますか。いい組み合わせのように思えますが。

 広い意味では、われわれはCiscoとうまくやっています。われわれは長い間多くの帯域を使います。ですから、われわれがやっていることにCiscoが好意的なのは確かです。しかし、詳細については話せません。それに、わたしがこの仕事について、まだ1日半しか経っていないのです。もう少し時間を下さい。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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