「事業作り」よりも「会社作り」が上手な企業へ--日本発モバイル検索支える人活術 - (page 2)

200以上の一般サイトに「CROOZアドサーチ」を提供

--「CROOZ!」の概要について教えて下さい。

 簡単に言えばgoogleと似たようなモデルです。「CROOZアドサーチ」に対して広告代理店が広告を取ってきてくれて、ウェブドゥジャパンのポータルに提供する一方、自社ポータルだけでは力が弱いので、個人・会社を含めてさまざまなサイトに検索窓を貼り付けてもらっています。広告主から見れば、広告を出していただければ、そうしたCROOZ!ネットワークのすべてに広告が配信されるという仕組みになっています。

--携帯電話用の検索連動広告が始まる前から、検索結果に広告を出されていましたか。

 はい。当初は検索結果に連動しない広告を、検索結果ページに出していました。後に、検索キーワードに連動した広告も出るように改良しました。

--一般サイトを見ていると、企業のサイトだけでなく、個人サイトでも「CROOZ!」をよく目にします。

 企業にも個人にも、無料で検索機能を提供しています。個人ユーザーに対しては、サイトにタグを用意して、自由に貼ってもらうようにしているし、企業サイトについては我々が足で営業しています。

 それで広告収入はお客さんとレベニューシェアをするというモデルです。ただし個人ユーザーに対しては、不正クリックの危険性がありますし、携帯電話ではIPアドレスを特定できませんのでレベニューシェアにはしていません。

--「CROOZ!」内でのクエリ数の伸びとか、広告のクリック数などについては。

 具体的なものは公表していませんが、企業への提供はガールズウォーカーさんなど200社を超えて、今も月に数十件のペースで増加を続けています。

--モバイル検索についてはgoogleも含め、検索精度の面でまだ各社とも発展途上だと思います。

 確かに、精度は上げないといけないでしょうね。うちは「CROOZ!ラボ」というところで、ずっと研究開発を続けています。あとは品質もさることながら、まずは使われないと意味がない。モバイル検索自体の認知は、ヤフーやgoogleが積極的にPRしてくれているので伸びているとは思う。あとは、携帯電話のブログなども伸びているので、「ケータイで何か読む」という行為自体もますます一般的になっていくでしょう。

--今後、検索連動広告だけでなく、他の広告商品や広告モデルを手がける予定は?

 具体的なことは話せませんがもちろんありますよ。現在手がけている主力部分だけでも伸びると思いますが、どんどん競合相手も入ってきて競争も激化しているので、CROOZ!の強みを生かした新商品を開発しないといけないなと思っています。まずは、現在の検索連動広告を改変して、商品力を高めたものにブラッシュアップする予定です。

社長の仕事は「採用」に尽きる

--上場で4億円程度調達しましたが、その使途について教えて下さい。

 広告費です。事業に直結する集客手段や広告戦略の部分に使う予定です。人材アウトソーシング事業は、まずは人を集めないと商売にならないですし人さえ集まれば上手く回っていきます。モバイルについては、広告しなくても儲かるビジネスモデルが出来てきているので、主として人材アウトソーシング方面ですね。

 とにかく、人が優秀なことが原動力でしょう。やはり、我々ぐらいの規模のベンチャーは、なんだかんだいって人なんです。奇麗事は言っていられない、根性があって気持ちがあって、目標達成力があり、頭がいいやつ。それをどれだけ集められるか。ですから当社では、かなり特殊な選考・育成方法を採用していて、そこにかなりのお金と時間をかけています。

 うちの社是は「21世紀でもっとも感動を与えた会社になる」。ここがブレているとダメなんです。当社独自の育成プログラムを受けた人は、たいてい最後には感動して泣きますね(笑)

 結局、社長の仕事は何かというと「採用」なんですよ。会社が小さいときも、大きくなっても、社長の目利き能力でコンセプトを明確にして、人材を見極められる方法を作り上げないといけない。1000人だろうが1万人だろうが、採用は社長が直接関わっていかなくてはいけない部分なんです。

 社員が50人ぐらいまでは、トップが直接メッセージを発信すれば届いたけど、それを超えるとなかなか伝わらなくなってくるので、会社にある全てのものが一貫したコンセプトでメッセージを発信していなくてはならない。うちの会社案内を見てくださると分かりますが、モチーフが「海賊」なんです(笑) 

 まだ一貫していないのはオフィス環境だけなので、3月以降はオフィスも全部海賊船にしますよ(笑)。もう少ししたら、再度見に来て下さい。

--今後、ウェブドゥジャパンとしてのビジョンは?

 僕は事業そのものには興味がなくて、別にどの事業でもいいんです。「無敵の事業」を作るよりは、「無敵の会社」を作りたいんです。最近のベンチャーは、どちらかというと事業重視で、ソリューションとかビジネスモデルとか言うことが多いですが、それはあって当たり前だけど、「事業作り」は上手いけど「会社作り」が下手な人が多いなと感じます。

 それでもやはり自分は後者になりたい。特にモバイルだけにこだわらなくても、「感動を与えられる会社」になれるなら全然別のものでもいいんです。

 資金的な制約がまったくなかったら飲食業をやってみたいです(笑)。要するに、人々のライフスタイルに関わる物、日々人生の中で利用頻度が高いもの、感動があるもをやっていきたんです。僕はもともとホテルマンだったしね。

 もちろん現時点では資本の制約もありますから、とにかく今は資金力を付けて、しっかり基盤を作って現在の事業を進めていきたいと思っています。

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