ビル・ゲイツ氏に聞く--Vista、Linuxなど

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年11月30日 19時14分

 Microsoft会長のBill Gates氏は、有望な新興技術を見定める目にはかなりの自信を持っている。問題は、その技術が芽を出すタイミングが必ずしも正確には分からないということだ。

 たとえば、MicrosoftはGates氏の音頭でタブレットコンピューティングとインタラクティブTVに積極的に関わってきたが、市場の成熟には長い時間がかかっている。

 米国時間11月15日、Gates氏はシリコンバレー行脚の途中でCNET News.comの取材に応じ、「私の直感が外れるとすれば、それはたいてい『何が』ではなく、タイミングの問題だ」と語った。

 ZuneとOfficeを語った前編に続き、後編では「Windows Vista」のお気に入りの機能、新しいファイルシステムを提唱し続ける理由、そしてオープンソースソフトウェアの役割についてGates氏の考えを聞いた。

--いよいよ5年ぶりにWindowsの大型改訂版「Windows Vista」の登場です。企業向けは11月30日、一般向けも遠からずリリースされます。Vistaの機能のうち、特に気に入っているものは何ですか。

 Vistaでは大規模な改訂が行われましたので、ひとつを選ぶのは難しいのですが、あえて言うなら(デスクトップ)検索です。ユーザーはすぐに「これなしで、これまでどう過ごしていたのだろうか。アドオンなどを買って、しのいでいたのだろうか」と考えるはずです。Vistaではユーザーインターフェースが統合されているので、使い勝手はアドオンとも大きく異なるはずです。

--あなたが以前から提唱してきたプロジェクトのひとつに、Windows用のまったく新しいファイルシステム「WinFS」があります。フルタイムの仕事から身を引くことを発表した際、あなたは新しいファイルシステムの必要性を今後も提唱し続けてくれるよう、Ray Ozzie氏を説得するつもりだと述べました。この件はどうなっていますか。

 ある種のリッチクエリでは、構造化型のモデルが求められていることに変わりはありません。しかし、電子メール、ファイル、写真などを全く同列で扱うためには、単なる検索インデックス以上のものが必要です。検索インデックスには一般に思われているよりも大きな可能性があると思いますが、将来的にはデータベース型のモデルが必要になるでしょう。

 われわれはSQL技術を広い範囲で利用しています。リッチストレージの分野では、常にSQLが基本のコードベースとなっています。私は今でも次のメジャーリリースか、次の次のリリースにこのモデルを搭載できると考えています。実現すれば、これは大きなブレークスルーとなるでしょう。

--RayとSteveも同じ考えなのですか。それとも、これは依然として2008年(Gates氏が事実上の引退を決めている年)までに片づけなければならないものなのでしょうか。

 SteveというのはSteve Sinofskyのことですか、それともSteve Ballmer?

--Steve Ballmer氏です。

 私の直感が外れるとすれば、それはたいてい「何か」ではなく、タイミングの問題であることをSteveは知っています。問題は「いつか」であり、「もし」ではありません。しかし、メモリサイズとパフォーマンスに関しては、Steveはチームに判断をゆだねることになるでしょう。

 われわれは非常に明確な基準に基づいて、リリースに搭載する機能を決めています。主な機能を選ぶ時は、その機能が十分に熟しているかどうかを考えます。Rayは必ず、最適のタイミングを選んでくれるでしょう。

 それに、私は完全にいなくなるわけではありません。2008年半ば以降も、会社の近くで活動しているはずです。タブレット(PC)、WinFSなど、私が密接に関わってきたものについては、これからも私に先導役が期待されるでしょう。私もその役割を務めたいと思っています。

--それはLonghorn(Vistaの開発コード名)から学んだ大きな教訓なのでしょうか。別のプロセスを走らせ、今できることは何かを考えるということです。

 それもひとつです。製品をリリースするたびに、多くのことを学びます。われわれはセキュリティ分野でブレークスルーを成し遂げる必要がありました。それが「Windows XP Service Pack 2(SP2)」です。SP2はエンドユーザーに焦点を当てたリリースではありませんでしたが、当社にとってはフルリリースに匹敵するものでした。

 今回はレイヤリングや機能チームの組成方法を学びましたので、今後の5年間はこれまでの5年間よりもはるかに多くのことを達成できると思っています。もちろん、いくつかの分野では心残りもありますが、この8カ月間は製品の仕上げに取り組む一方で、次のステップに向けた準備も進めることができました。そのことにはとても満足しています。

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