ヤフーが変わろうとしている。国内最大のポータルサイトとして圧倒的なトラフィックを武器に広告展開してきたが、より訴求力が高く、より正確なリーチを実現できる新たな広告手法に着手。近く、新体制での広告展開を本格化する構えだ。
背景には、マス広告とは別の切り口で広告事業を急拡大しているグーグルの脅威などがある。市場変化にあわせた新時代の広告事業を目指すヤフー社長の井上雅博氏が、記者懇談会の場で、今後のメディア展開や会員制度との連動における問題などについて語った。
東証には特定少数株主上位10人の持ち株比率が75%未満でないと上場できないというルールがあります。ヤフーはソフトバンクと米Yahooで始めたジョイントベンチャーだったということもあり、いまだに2社の持ち株比率が70%程度あるので、東証が定めるルールの上限に近い状況にある。大株主の持ち株比率は少しずつ減らす方針だったのですが、これ以上比率を落とすと、当社と親会社であるソフトバンクと米Yahooとの関係にも大きな変化をもたらすので難しい。
そんなことはないだろうとは思いますが、株主を含めてご心配いただいていることとして、敵対買収者みたいなものの出現があります。例えば、敵対買収者のような存在が当社の株を1%以上保有すると、上場廃止基準に抵触し、株主は自分の持っている株を売れなくなる可能性が考えられます。株主は売りたい時に保有株を売るというのが前提なので、その前提が崩れてしまうのは避けたい。
ですから、75%のルールがない市場があれば、そこに重複上場するというのはアリかなと。これで株主が安心してヤフー株の売買をしていただけるようになるわけです。また、東証とジャスダックでは資金調達に関しても違う方法が考えられるし、システムトラブルのようなものが起きても、どちらかが正常に動作していれば取引ができます。重複上場は費用もそれほどかかりませんので、総合的に判断した結果、全体的に安心感がある方がいいだろうと判断しました。
手をあげれば誰でもできることではないので、改めて審査をしてもらうことにはなりますが。
本質的に何を数えるべきなのか、ということです。ページビューは多ければ多いほど自慢できますが、一方でそれが広告メディアとなると、実際に広告主の広告がどれだけ見られたのかということを測定することが重要です。特に、ネット上ではさまざまな検索エンジンのクローラが走っているのが現状なので、これのアクセスについては手動で外してページビューの実数を測定しようとしてきたのですが、これを完全に外すのは難しいかなと。
米Yahooでは全世界的に広告主の信頼を高めるためにCSCという測定方式を導入しているので、これを日本でやらないという理由はありません。CSCの考え方自体が日本では馴染まないのではないかということや、ヤフーだけが先行して他社に迷惑をかけてもいけないので、そろりそろりと準備をしてきました。JAA(日本広告主協会)にも、1年くらい前から話をしてきたことです。
目的としては、ネットの信頼性を高めることの1点。結果については、思ったよりも凸凹がありましたが、増えたものもあれば減ったものもありました。ヤフーがそんなに減らなかったのは良いニュースなので、JAAや広告代理店の方々もCSCについて、理解が進めば前向きにお考えになるのではないでしょうか。
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