6年というのは、長いようで短い。
これはSAPの最高経営責任者、Henning Kagermann氏の感慨でもあるだろう。
Kagermann氏は6年間にわたり、世界最大のエンタープライズアプリケーション企業SAPのCEOを務めてきた。取締役としての在任期間は15年におよぶ。この期間に、業界では既存のライセンスモデルとソフトウェアの供給システムに疑問符が付き、消費者志向のアプリケーションが企業ユーザーの心を捉え、エンタープライズアプリケーション市場を舞台に大規模な整理統合が起きた。
Kagermann氏は先週、CNET News.comのインタビューに応じ、CEOとしての任期が切れる来年以降の去就を含め、幅広い話題について語った。
当社の戦略は変わっていません。SAPは複数の環境に対応したハイブリッドモデルを提供しています。これは十分な理由があってのことです。企業は柔軟性を求めています。ハイブリッドモデルを利用すれば、企業はアプリケーションをオンデマンドで利用するか、いずれは機能を拡張し、自社のバックエンドに統合するかを選択することができます。
オンデマンドでも対応できる分野や機能はあります。たとえば、ほとんどの企業はまず、販売プロセスを自動化します。販売プロセスはあまり構造化されていないので、自動化は合理的な判断です。これは単純で、どちらかといえば事務的なプロセスです。しかし、顧客関係管理(CRM)のコアとなるとどうでしょうか。オンデマンドで実現するのは困難です。企業は顧客に関するデータを他社と共有したいとは考えていないからです。
あと数年もすれば、はっきりするでしょう。
ライセンスモデルは変わるべきなのか、あらゆるアプリケーションはオンデマンドで利用できるようになるべきなのか--この4年間、われわれはこうした議論を繰り返してきました。
しかし、私が当社の顧客に話を聞いた限りでは、企業は(ソフトウェアを)所有したいと考えています。企業は現在のモデルに満足しています。今後、新たな収益モデルが加わることは間違いないでしょうが、コアの顧客層はこれからもライセンスモデルを求めるでしょう。1、2年後にもう一度、同じ質問をしていただいても構いません。
こうした話は任期が切れる1年前に行われるのが普通ですから、来年の第1四半期かその辺りに話し合いを持つことになると思います。
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