米国時間7日、Microsoftの主要データベース/開発ツール製品の発表に合わせて、サンフランシスコに集まった3000人の開発者たちが耳にしたのは、Microsoft製品を売り込むSteve Ballmerの、いつもの強引な口上だけではなかった。
Ballmerは「SQL Server 2005」「Visual Studio 2005」「BizTalk Server」に関する講演のなかで(関連記事)、Microsoftと他のソフトウェアメーカーの違いを決定付けているビジネス上の重要な違いに言及した。「他のソフトウェアメーカー」には、急成長中のオープンソース企業も含まれる。
講演後、Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるBallmerは、CNET News.comのインタビューに応じ、OracleとSAPの狙いがFortune 500ランキングに名を連ねる企業とねんごろに付き合うことだとすれば、Microsoftの狙いは、「その他大勢をまとめるグランドコンソリデーター(grand consolidator)」になることだと語った。
-- 先頃発表されたExpress製品は、Microsoftが食物連鎖の下層部、つまりオープンソースソフトウェアなどと競合することを可能にするものです。一方、食物連鎖の頂点--つまり大企業市場では、IT支出に占めるMicrosoftのシェアは1.5%にも満たないというデータがあります。Microsoftの目標は、大企業市場でのシェアを伸ばすことではないのですか。
問題は、プライスポイント(消費者が製品を買う気になる価格)をいかに引き上げるかです。「ミッションクリティカル」な用途には、当社のエンタープライズ製品が1つの選択肢となるはずです。その業務が企業の根幹に関わるものであればあるほど、高価格帯の製品が選ばれる可能性も高まります。一部のオープンソース製品を除けば、当社はどの事業分野においても、ソフトウェアを安価に、かつ大量に供給する存在となっています。
企業顧客に対する当社の売りのひとつは、コスト削減に貢献できるというものです。当社のプラットフォームの信頼性は、すでに豊富な実績によって裏付けられていますし、エンタープライズソフトウェアを導入する際に発生するレガシー問題を解決するための拡張性も十二分に備えています。当社は長年にわたって、こうした問題に取り組んできました。そのいくつかは、明らかにレガシー問題と呼ぶべきものでした。
--SQL ServerとVisual StudioにはExpress版(機能限定版)が登場しました。いずれはWindowsやOfficeといった製品にもExpress版が登場するのでしょうか。
実質的には、Starter EditionはWindowsのExpress版ということができます。もっとも、市場の反応はあまりよくありません。
--しかし、Starter Editionは米国では販売されていません。
はい、この製品は米国向けではありません。Windowsはすでにかなりの低価格で提供されています。価格をさらに抑えたExpress版を投入する余地があるかどうかを考えていただきたいと思います。Windowsはコンピュータの振る舞いやその使い勝手を決定する基本的なソフトウェアです。この種の製品にExpress版が必要だとは思いません。
Officeに関しては、すでに学生や教職員向けの「Student and Teacher Edition」を投入しました。この試みはOffice 12でも継続する予定です。Student and Teacher版の今後の展開については、追って発表があると思います。基本的に、Student and Teacher版はExpress版と同じ市場を対象としています。しかし、これらのPCの購入者の大半は保護者の側なので、学生よりも多くの予算を持っている可能性があります。
--近いうちに、Office 12の廉価版に関する発表があるということでしょうか。
そういうつもりでいったのではありません。今日はその話をする日ではない、ということです。1ついえるのは、Officeチームはあらゆる市場で、バリュー・プロポジション(顧客に提供する独自の価値)を高める努力を続けているということです。
--あなたは今朝の講演で、Oracleの共同プレジデントの少なくとも1人がOracleを将来の業界再編の主役と考えていると述べました。しかし、その役割を果たすのはMicrosoftであってもよいはずです。なぜ、そうなっていないのでしょうか。今後、買収のペースを速める計画はありますか。
市場は2つの領域に分けることができます。ひとつは巨大企業の市場、もうひとつはその他大勢の市場です。われわれが目指しているのは、その他大勢をまとめるグランドコンソリデーターとなることです。Dynamics(Microsoftのビジネスアプリケーション製品ライン)や、先日発表した中小企業向けの会計ソフトウェアは、この目標を達成するための一歩となるものです。当社はその他大勢のグランドコンソリデーターとなるつもりです。
大企業市場に関しては、大きく分けて2つの選択肢がありました。1つはSAPと連携すること、もう1つはPeopleSoft、J.D. Edwards等々を買収し、SAPと競合することです。しかし、やるべきことやアイデアは山のようにありましたし、その他大勢を相手にするだけで手一杯になると思われました。そこで、SAPと提携することが合理的だと判断したのです。この市場は、SAPとOracleの一騎打ちになると思います。
--あなたは先月、今後はすべての事業分野で「6〜9カ月ごと、2年ごと、またはそれ以上」の3種類のペースで製品を発表する必要があると述べました。しかし、WindowsやSQL Serverなど、開発に時間のかかる製品では、6〜9カ月ごとに新製品を出すのは難しいのではありませんか。
これらの製品は開発に時間を要するので、6〜9カ月ごとに新製品を出す必要はありません。たとえば、SQL Serverの次期バージョン(SQL Server 2005)は、早い段階から.NET環境に対応させることを決定していました。ところが、SQL Server 2005の開発には時間がかかり、その結果、.NET 2.0の登場も遅れることになりました。両者は同時に登場する必要があったからです。そのための作業が必要でした。
しかし、これからは違います。今後は、「この機能を実現するために3〜4年かかる可能性があるならば、次のリリースは先に出してしまおう」と考えます。過去の革新の中には、もっと早く市場に投入していれば、もっと興味深く、もっと刺激的だったと思われるものがたくさんあります。私が3種類のサイクルを提案したのはそのためです。今後は長期的に取り組むものや、定期的にリリースするもののほかに、約9カ月ごとにサービスパックや付加価値サービスが登場することになるでしょう。
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