愛・地球博(愛知万博)の開催と共に、次世代ロボットが大きな注目を集めている。トヨタ自動車や松下電工、テムザックなど、多くの企業が開発中のロボットを一堂に展示しているからだ。
次世代ロボットとは、工場で製品の組み立てなどに使われる産業用ロボットと異なり、人間と生活を共にしながら人間の役に立つロボットのことだ。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど幅広い技術を統合する必要があることから、日本の製造業の「すりあわせ」技術が発揮できる分野として注目されている。
産業用ロボットを含むロボットの国内市場規模は現在5000億円程度だが、2025年には6兆2000億円規模になるという経済産業省の予測もある。しかし、現時点で産業用以外のロボットがビジネスとして成り立っている例はほとんどない。ロボットを開発する企業にとって、いかにロボットをビジネスにつなげるかが大きな課題となっているのだ。
このような中で、ロボットの開発・販売を手がけるZMPは、二足歩行を行うロボット「nuvo」を世界で初めて一般家庭向けに売り出した(関連記事)。nuvoは身長39cmの小型ロボットで、歩行やダンスができるほか、内蔵カメラを使って部屋の様子を遠隔監視することもできる。
ZMPは科学技術振興事業団の北野共生システムプロジェクトが開発した人型ロボット「PINO」の技術移転を受け、2001年1月に設立されたベンチャー企業だ。nuvoの開発経緯と狙い、今後のロボット市場の展望について同社代表取締役社長の谷口恒氏に話を聞いた。
--一般家庭向けとしては初の商用二足歩行ロボットということですが、そもそもなぜ二足歩行ロボットの開発に取り組まれたのですか。
二足歩行の人型ロボットであれば注目を集めやすい、というのが大きな理由です。nuvoの開発に取り組んだ2001年ごろは、まだほかの会社が二足歩行ロボットに取り組んでいなかったので、「人型ロボットを手がけている」というだけでずいぶん注目されました。
もちろん、PINOがあったということもあります。しかし、製品の実現性やロボットマーケットを開拓していくことを考えたとき、ニッチな市場から攻めていって、徐々に事業を拡大しようと考えたのです。
--ロボットと一口に言っても、産業用から次世代の家庭用ロボットまでさまざまな種類があります。ZMPが狙うのはどのような市場ですか。
まず、ZMPが考えるロボットの要素は以下の3つです。
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