--デジタル著作権管理(DRM)技術の開発や導入が進んでいますが、それでも違法コピーは減っていませんね。
我々は何年も前からWindowsでDRMを実現しています。ところで、iPodのなかにある音楽で1番多いのはどんなものでしょうか。答えは、盗まれたもの、です。いまだに音楽を盗んでいる人がたくさんいます。正規の購入手段が存在し、そうして手に入れた音楽ファイルにはプロテクトがかかっているという事実があっても、多くの人がいまだに違法コピーを手にしていることには変わりはありません。AppleがiPodやiTunesに関して、とてもいい仕事をしたことは間違いのないところです。そして、iPodにせよiTunesにせよ、すべての問題が片付いたと是非とも言いたいところですが、別の入手方法が存在する限り、音楽を盗む人は後を絶たないでしょう。
人が音楽を盗む理由の1つは金銭的なものですが、そのほかに現在のDRM技術が使いにくいというのもあります。我々は今後も我が社のDRMの改善を続け、もっとクラックしにくく、もっと、もっと、もっと使いやすいものにしていくつもりです。
--携帯音楽プレイヤーの市場では、Appleや他社の製品が好調な売れ行きを示していますが、その一方でMicrosoftのスマートフォンは売れ行きが芳しくありません。Microsoftはこの問題にどう取り組みますか。
いずれは、ほとんどの人が小型のハードディスクを内蔵した携帯電話を持ち歩くような時代が来るでしょう。そうなると、たくさんの音楽が携帯電話のなかに保存されるようになります。現在、携帯電話の販売台数は年間6億台といったところです。さて、いったい何種類のデバイスを同時に持ち歩きたいと思いますか(できるだけ少ないほうがいいはずです)。我々はさらに魅力のあるバリュープロポジションを考え出さなくてはなりません。BlackBerryは一定のニッチ市場を抑えていますが、それほど定着率が高いデバイスではありません。Exchangeのクライアントとしては優れていますが、通話には不向きです。もっと大きなキーボードのついたデバイスが爆発的に増えることでしょう。
--Xboxについてはどんな点に力を入れていますか。
(Xboxは非常に大きな市場シェアを獲得していますが)まだ利益には結びついていません。もちろん、これは我々の問題です。市場シェアについていえば、米国ではソニー(のPlayStation)と互角で、英国では互角か少しリードしています。しかし、日本ではさっぱりダメです。
--Linuxや違法コピー、価格の低下、さらには機能を削ったWindowsの廉価版を一部の開発途上国で販売することなどから生じる脅威が、御社のライセンスや価格設定に関する方針に影響を与えていますか。
(ヒンディ語版のWindowsについては)もし何らかの見返りを得られるなら、我々は値上げをします。価格の低下はありません。中国では英国とまったく同じ価格で製品を販売しています。我々は優れた製品を提供し、優れた価値、優れた価格、優れたTCOを提供します。この廉価版は、元々貧しい国々の貧しい人たちのために考えられたものです。現在、新興市場のユーザーの多くは英国のユーザーよりも少ない金額しか払っていません。これは、多くの人が違法コピーを利用しているからです。
--違法コピーによるMicrosoftの被害額はどれくらいですか。
売上にして60億ドルから80億ドルといったところです。中国だけでも被害額は数十億ドルに上ります。いまはまだ知的所有権がきちんと遵守されていないのです。これは頭の痛い問題です。どの先進国も、我々がこうした被害を被っていることに関心を払うべきです。これは大きな問題です。
--Linuxは、技術よりもむしろマーケティング上の問題でしょうか。
それ以外に、政治的な要因が働く場合も時にはあります。Linuxの問題に関する特別な点は、我々がおとなしくしていて事実を語ろうとしていないところです。2年前、我々はこの謎めいた競争相手の招待を突き止めようと四苦八苦していましたが、現在ではもっと普通の競争相手になっていると感じます。
--Linuxは御社にとってナンバー1の競争相手ですか。
その通りです。数の上では我々のほうが勝っており、また我々はサーバ分野で市場シェアを伸ばしていますが、その点についてはLinuxも変わりません。人々はいま、フリーがタダとは違うことに気付き始めています。LinuxのTCOが特に低いわけではありません。我々は自分たちが何をしているかを知っています。我々は今後もさらに前に進んでいきます。
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