ところで、リアルCEOの言い分も聞いてみよう - (page 2)

John Borland(CNET News.com)2004年08月26日 10時00分

--結局、Jobsはあなたの申し入れをマスコミにリークしました。通常のビジネスではあまり考えられないことです。彼の行動はフェアプレイだったと思いますか。

 いいえ。「フェアプレイ(FairPlay)」は、AppleのDRM技術の名前です。

 それはさておき、Steveはユニークな男です。取引相手、あるいは同僚として一緒に仕事をしてみれば分かります。今回のことを、私個人への攻撃だとは考えていません。われわれはユーザーにとって意味のあることをしている--私はそう考えています。マスコミはこれを個人対個人の確執と描きたがるようですが、われわれはユーザーにとって正しいと思うことをしているにすぎない。CompaqのIBM互換など、これまでにも多くの企業が実践してきた、非常に伝統的なやり方でね。

 Appleはこれまで互換性に背を向けてきました。そのため、他社製品との互換性の実現を迫られ、それに応じたとき、Appleがどう感じるのかを予測するのは難しかった--今もそれは変わりません。Appleが互換性の確保に応じれば、状況は必ず変わるでしょう。われわれはAppleのことを、非常に革新的な会社だと捉えています。次世代のiPodでも革新を続けることができれば、Appleは息の長い成功を手に入れることができるでしょう。

 Harmonyの開発はユーザーにとっても、業界にとっても正しいことだと思っています。もしかしたら、Appleにとっても正しいことかもしれません。しかし、結果が出るのはずっと先のことです。

--RealNetworksの「選択の自由」キャンペーンは、デジタル音楽の互換性という面で、レコード会社やユーザーが求めてきたものと一致しています。しかし、すべての企業が互換性を手に入れてしまうと、Realの利益が損なわれるのでは。

 互換性は今後、あらゆる分野で実現されていくはずです。そうなることが、われわれの利益になるのか・・・。もちろんそうです、市場が拡大するわけですからね。現在の300億ドル規模の音楽産業が、同等規模のデジタル音楽産業に移行する--これはまたとないチャンスです。

 選択の自由は、われわれに大きな利益をもたらすでしょう。これは市場を独占するということではありません。そんなビジネスは不健全です。たとえば、Yahooはポータル市場を独占しているわけではありませんが、この市場で大きな売上を上げています。Amazonもオンラインショッピング市場を独占しているわけではありませんが、ビジネスは上々です。つまり、急成長を遂げている市場では、たとえ独占企業でなくても、ビジネスを成功させることが可能なのです。

--今後もサブスクリプション形式(定額モデル)の音楽配信を続けていかれますか。

 長期的には、大半のユーザーがサブスクリプション形式を選ぶことになるでしょう。この考えに変わりはありません。いずれは、膨大な数の会員に定額サービスを提供する日が来ると思います。

 Harmonyには2つの意義があります。差別化、そして優位性です。Harmonyを他社にライセンスするときは、曲の利用ごとに少額の利用料をもらうつもりです。利用される曲数が増えれば、これは大きなビジネスになります。

 一方、もし利用者がおらず、向こう1、2年は当社がHarmonyを独占することになったとしても、その間に機能と信頼性をさらに高めることができるので、悪い話ではありません。

 あえていうなら、当面はサブスクリプション形式より、曲単位の課金方式に重点を置いていくつもりです。どちらにしても、当社に強力な差別化要因があることは変わりません。しかし、長期的にはこれまで通り、サブスクリプション形式に焦点を当てていくつもりです。当社の音楽配信サービス「Rhapsody」は、会員数はもちろん、利用頻度やフィードバックの質の面でも大きな成功を収めました。ですから、問題はどちらを選ぶかではなく、両者をどう活用するかだと思います。

 しかし、ユーザーの意向も取り入れるつもりです。まだ学習の途中です。

--Harmonyのライセンス交渉は始まっているのですか。

 予備交渉といったところです。Harmonyの発表からまだ3週間しかたっていませんし、17日に初のHarmony搭載RealPlayerをリリースしたばかりです。ですから、本格的な話はまだどの企業ともしていません。

--ソニーに対しても、Appleと同じことをするのですか。それとも、Sソニーの場合はDRMのライセンス交渉が進んでいるのでしょうか。

 われわれは(Sonyの推す音楽フォーマット)ATRACをサポートしていますし、同社のDRMであるOpenMGに対応した機器との互換性も確保しています。ですから、新しい提携を結ぶ可能性は大いにあります。

 この市場では、ソニー製ハードウェアの価値はとりたてて高いとはいえません。これは同社の製品にいくつかの重大な制約があるためです。たとえば、同社のデジタル音楽プレイヤーはMP3に対応していません。このため、哀れなユーザーは自分が持っているMP3フォーマットの曲を、ソニーのプレイヤーが対応しているフォーマットに変換しなければならない。これは先進的なやり方とはいえません。

 ソニーはすばらしい会社です。同社とは多くの分野で良好な関係を築いていますから、今後の展開を否定するつもりはありません。しかし、Helixを開発し、Windows MediaとFairPlayまたはiTunes用デバイスに対応したことによって、われわれは市場に出回っているセキュアな再生機器の、実に90%に対応できるようになっているのです。

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