永井美智子(編集部)
2006/06/27 20:22
欧州などで検索技術に注目が集まっているのは、国防上の問題もありますが、それ以上に情報社会技術の根本に関わる問題だからです。検索技術によって知識の取得率が大きく変わってくる。今まで図書館で何時間も探さないと見つけられなかったようなものが、検索技術を使えばものの数分で関連情報までわかってしまう。
いまの日本の検索技術の研究開発の状況は、MicrosoftのWindows登場以前の時期に似ています。当時はいろいろな企業が独自にOSを作っていたけれども、結局すべて負けてしまった。そして、多くの企業がWindows上で動くアプリケーションやサービスを提供するようになっている。
いま、検索技術も同じような状況が起きています。Googleが(梅田望夫氏が提唱する)「あちら側」にすべてのサービスを用意している。
ただ、まだGoogleがカバーしている範囲が小さいうちに、事の重大性に気付いた分、ましなのかなとも思います。同じようなことが起きる前に手を打ちたい。もちろん、いま気付いたからといって勝てるとは限りませんが。
今は、Windowsに対抗するLinuxのようなものが作れる最後の時期だと思っています。たとえば3年後にこんなことを思いついても、実現させようという意欲すらなくなっていたでしょうから。
GoogleやYahoo!が映像検索を提供する上で問題になるのは、各家庭の回線速度です。そういった意味で、日本は面白い市場ですよね。
これまで日本の過去の技術が生かされなかったのは、検索技術を開発する動機があってないようなものだったからです。これだけの技術があっても、当時はインターネットがあまり活用されていなかった。
そうですね。それから、勝てるかどうか分からないけれどもやらなければいけないのは、情報弱者でも使いやすい検索サービスです。例えば音声で会話しながら検索できるようにするといったことが考えられます。ここには自然言語処理技術などが求められますね。
そういう意味で、今回、情報技術研究機構(NICT)の協力が得られたことは大きいです。NICTは日本の方言の研究も含めて、世界的に高い水準の研究を数多く行っていますから。
確かにキーワード検索ではGoogleに負けていますが、自然文で応答しながら検索処理をするといったことには、まだかなり可能性が残っているのではないかと考えています。
使えるものがあれば可能性はあります。ただ、単純にオープンなものがいいのかという点は考える必要があります。信頼性の問題や、手なおしの必要性などを考えると、良くしていくための工夫がいるでしょう。
各企業が持つ技術を整理して、どういったものを共同でやっていくのかというのを決めるのに年内いっぱいはかかると思います。予算がつくのは2007年4月からになりますので、それまでに体制ができるようにしていきます。
まず大きく分けて、技術的なことを検討するグループと、ビジネスモデルを考えるグループがあります。技術としてはパーソナライゼーション技術、大規模コンピューティング技術、検索エンジンのためのマイニング技術やオントロジー技術の3つが中心になるでしょう。
早ければ2年ですね。ものによっては、すでに存在する技術もあります。ただ、性能があまり良くないので使われていない。例えば画像検索も、適合率が上がれば製造業や医療などの現場で実証実験として使ってもらおうと思っています。特に医療現場は国が音頭を取ることで利用しやすくなると思います。地方病院が医療データベースにアクセスできて、症例の少ないところでも同レベルのサービスが受けられるようになりますので、これは非常に重要な取り組みと言えます。
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もっとも懸念されることは、検索エンジンが「検閲エンジン」と化す可能性である。 クエリを処理するプロセスを透明化しない限り、たとえGoogle以上の便益を声高に喧伝し、そして仮に実現しようとも、国民は使わない。 「検閲」という憲法違反を犯す可能性(しかもかなりの精度で)についての説明責任を果たすべきである。