ソニーの勇敢な騎士、ストリンガーCEO(後編)

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年02月07日 08時00分

 2006年のソニーは、多くのニュースに登場したが、ほとんどの場合は嫌な役回りだった。

 エレクトロニクス界の大手企業であるソニーは、大量のノートPC用バッテリーをリコールする羽目に陥った。待望のPLAYSTATION 3(PS3)も発売されたが、初期出荷台数は予定を大幅に下回った。Blu-ray DiscとHD DVDの戦いは、次世代高品位プレイヤーの売り上げを阻害している。ソニーはフラットパネルテレビ市場では弾みをつけているが、業界全体が激しい価格競争を経験している状況だ。

 ソニーの最高経営責任者(CEO)であり、イギリスの叙勲制度でKnights Bachelorというナイトの称号を持つHoward Stringer氏は、手一杯の状況だ。しかし、テレビ局のCBSでキャリアを積んだ経験をもつ同氏は、2007年1月にラスベガスで開催されたConsumer Electronics Showで、CNET News.comのMichael Kanellosや他の記者から取材を受けた際にも、依然として活力に溢れていた。Stringer氏と、最高財務責任者(CFO)であるRob Wiesenthal氏、Sony ElectronicsのプレジデントであるStan Glasgow氏は、2007年のソニー製品のラインアップ、OLEDテレビなどの未来の製品、PS3およびソニーの次の計画について話してくれた。本記事はそのインタビューの後編となる。

--他にはどんな文化的な改革が必要でしたか。

Stringer:ソフトウェア技術の向上を続けており、これがビデオプレイヤー市場の競争でも有利に働くでしょう。われわれは、この市場で他社の後塵を拝するわけにはいきません。将来PSPをどう使うかが、チャンスにつながります。

 われわれは、ソニーのソフトウェア技術開発を変えました。今では、米国、東京、Sony Online Entertainmentの間で、統合されたアプローチを取っています。ソフトウェアについては、Tim Schaffと日本の島田さん(技術開発本部長の島田啓一郎氏)が常にコミュニケーションを取っています。50代、60代の人たちの代わりに、40代の人たちが多くいます。私は年齢を軽んじるわけではありませんが、われわれはソニーを初めてデジタル世界へ導こうとしているのです。例えば、われわれは現在、全ての製品ラインアップにソフトウェアアーキテクトを置いています。これまでは、そういうことはありませんでした。2年前には、ソフトウェアアーキテクトが何なのかを本当に知っている人はあまりいませんでした。今では、製品が生まれる時から、ソフトウェア工学と製品デザインを結びつけて扱っています。

 「どうしてそんなに時間がかかったのか」という意見は、適切ではありません。われわれはまだ変化の途中なのです。特に、IPTVのような次の春から市場に出てくる製品を通して、われわれは、コンテンツ企業と連携することが他社では得られないソニーの強みであるとの認識を深めています。

--Web 2.0についてソニーではどんなことを計画していますか?

Stringer:IPTVが最初の例になります。(編集者注:CESでソニーは、インターネットサイトから直接コンテンツを再生できるBraviaテレビを前面に押し出していた)われわれはインターネット世界の中心に、コンピュータではなくテレビを置いています。コンピュータを使わず、インターネットをテレビ画面に直接繋げるのです。これは、テレビセットの中身に、多くの影響を与えます。2年前にはみなにソニーはソフトウェアのことを分かっていないと言われていたことを考えると、ソニーが最初にこれに取り組むというのは大きな変革です。

Glasgow:インターネット接続とコンテンツのストリーミングを実現するモジュールを載せるため、アプリケーションの層を作る必要がありました。高品位コンテンツのストリーミングを含め、全体の80%がソフトウェアで制御されており、これによって高品位の映画を処理しています。これはソニー・ピクチャーズとの共同で進められています。われわれがやりたかったのは、ソニーの全てのテレビにこの能力を持たせる一方、この追加機能を必要としない消費者に転嫁されるコストは低く抑えることです。このため、この機能を追加モジュールとしました。

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