オランダ発のウェアラブル企業「TomTom」が日本参入する狙い--活動量計やアクションカメラ - (page 2)

ウェアラブルデバイスが求められる文化を生み出す

--日本での事業戦略について教えてください。今後はどのようにブランディングしていくのでしょう。

 私たちは、日本ですでに自動車向け事業でビジネスを展開しているので、その経験を生かして流通網の構築や強力な販売パートナーとの協業を進めていきたいと考えています。市場シェアで首位になることは簡単ではありませんが、まずはビジネスの基盤を作り“強いナンバー2”を目指すことができればと思います。日本市場の状況、日本の顧客ニーズを理解し見極めながら、その動きに合わせたビジネス展開を考えていきたいです。

 また、ブランドの構築については、大々的な広告を展開することが適切とは言えないと思っています。たとえばスポーツウォッチのブランディングでは、イベントや競技大会の協賛などを通じてランニング愛好家の活動を支援したり、ランナーのコミュニティに関わったりすることで、ブランドエンゲージメントを構築していきたいと思います。

 欧米では、すでにこうした考えのもとマーケティングを進めていて、日本でも2月の東京マラソンに併せて開催される「東京マラソンEXPO」に出展する予定です。まずはスポーツウォッチに対する高いニーズを持った人たちにアプローチすることで、エンゲージメントを生み出していきたいです。


日本での事業戦略を語るコリーン氏

――日本では、ウェアラブルデバイスはまだまだアーリーステージだといえます。使いこなしている人もいますが、知らない人も多い。今後、市場全体が活性化するためには、何が必要でしょう。

 実はそれは欧州も同じです。必要なのは、ウェアラブルデバイスを活用するという文化を作ることではないでしょうか。ウェアラブル先進国の米国では、アクティビティトラッカーはライフスタイルのあらゆるシーンで活用されていますが、欧州はまだ遅れています。これは価値観の違いと言えるかもしれませんが、欧州では消費者は自分のニーズを満たしてくれる製品を購入します。ウェアラブルデバイスはまず、この具体的なニーズを生み出さなければなりません。それには時間がかかると思います。

 ウェアラブルデバイスを活用して良いデータを取得できれば、ランニングの質は改善されるでしょう。効率よく身体を鍛えることで、より健康的な生活を送ることができます。世の中にこうしたニーズが高まっていけば、データはそのニーズを満たす価値を提供できるのです。そのためにも、私たちのようなメーカーは、データを意義のある形で提供できなくてはいけません。生み出されるデータがユーザーに何をもたらすのかということを考え、価値を生み出していくことが大切だと考えています。

――ウェアラブルという存在そのものを訴求するのではなく、まずはウェアラブルが求められる前提となる、“健康になりたい”、“フィットネスをもっと楽しみたい”というユーザーの欲求を生み出していくことが重要ですね。

 ニーズがある状態で製品を使えば、ウェアラブルの価値は実感できると思うのです。あとはその価値が口コミで共有されていけば、ウェアラブルに対するニーズも拡大していくでしょう。だからこそ、製品の広告を大々的に打ち出しても、あまり意義のあることだとは言えないのです。

 世界各国のメーカーは、今後もウェアラブル製品をどんどん進化させていくでしょう。市場ではスマートウォッチやアクティビティトラッカーの分野で各社が凌ぎを削っていますが、私たちはあくまでもスポーツウォッチの分野で勝負していきたい。多機能ではなく、必要としている顧客の具体的なニーズを理解しながら、ひとつの価値に卓越した製品を生み出していきたいと思います。

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