--iモードの次の展開は。
まず、iモードを国際的に広めていきます。これによってライセンス収入が見込めますし、端末を世界的に統一できれば国内でも安い端末を提供できるようになります。
それからもう1つ、iモードを採用する海外のオペレータを増やすために、ヒットするサービスを作っていきます。資本関係がないわけですから、魅力的なサービスがなければ彼らはついてこない。そのために国内で新たなサービスを開発しています。
利用者が日々接するいろいろなものをケータイでコントロールできるようにするというのがドコモの考えです。駅の改札やコンビニのPOSレジ、駐車場や会社のドアなどですね。FeliCa、赤外線、2次元バーコードの“3種の神器”を端末に標準搭載していきます。すでに赤外線を搭載した端末は市場に2000万台ほど出荷されている。これだけの市場があれば、他の企業も追随してきます。
--テレビ電話にも力を入れていますね。
テレビ電話は仕事で利用する人がいますから、一定量のマーケットはあります。しかしそれは小さい市場です。コンシューマーのテレビ電話市場が開拓できれば、大きな収入になります。
ただし問題は、人は常にテレビ電話をしたい状況にはないということですね。恋愛が盛り上がっている恋人同士や子供が生まれたばかりの親といったマーケットはありますが、使いたくもない人にテレビ電話を使えということはできない。これはもう技術の問題ではありませんから、むしろ人間心理の領域を学ぶ必要があるかもしれません(笑)
--パケット定額制を導入した狙いは。
携帯電話は有限の周波数を利用するものですから、基本的に定額制はやりたくないと思っていました。ただ、ライバルが導入したのでやむなくドコモも始めた。そうでなければ、(ユーザーがキャリアを乗り換えることで)パケット通信料だけでなく、音声収入も持って行かれる。売られたケンカは買うということで、ビジネス上の観点から導入を決めました。
これまでのキャリアのビジネスモデルは、顧客にできるだけたくさん利用してもらって収入を伸ばすというものです。そのためにディスプレイを高画質にしてパケット数を増やすなど、端末のスペックを上げていった。しかし定額制では、いくら端末の性能を上げてもパケットの収入は月額4095円の定額です。しかも設備投資が必要な分だけコストがかかる。今後は携帯電話をあまり利用しないユーザーの底上げを図る必要があります。
--定額制の導入は海外のオペレータにも影響を与えるでしょうか。
海外への影響は特にないのではないでしょうか。他のライバル企業が導入すれば別ですが。定額制はパンドラの箱を開けるようなものですから、誰も開けなければそれで済みます。ただ、飽和市場では価格競争が進むでしょう。さらに通信料が無料の無線LANを利用したサービスが登場したらどうなるかはわかりませんね。
--今後通信業界でも世界的なM&Aは進むのでしょうか。
今でもオペレータの数は1カ国に3〜4社ですよね。今後は大きく3つのグループに分かれていくと見ています。1つめはボーダフォングループのように、統一されたサービスやロゴを提供するもの。2つめがiモードのようなサービスアライアンスです。この場合、企業間に資本関係はありません。3つめはもともと各国で独占的に通信事業を展開していた大企業。この3つにクラスタ化していくでしょう。
iモードのサービスアライアンスでは、各オペレータのマーケティング部門や技術部門、端末部門などが毎月ミーティングを開いています。また、端末メーカーと折衝する際には共同であたるようにしています。契約オペレータの携帯電話契約者数の合計は約7000万件あり、ドコモの契約者数と合わせると1億件以上のマーケットになる。これだけの規模になれば端末メーカーにも興味を持ってもらえます。
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