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マイクロソフトCEOのバルマーが鼓舞するオープンソースとの戦い

2003/06/12 10:00
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 Microsoftは今後どのような舵取りを迫られるのか。同社CEOのSteve Ballmerが公表したメモを紐解くと、大胆な市場分析と「全社の総力を結集せよ」といった文言が目を引く。

 百戦錬磨のBallmerはオープンソースソフトウェアの台頭を受けて立つため、全社員のエネルギーを集中せよと鶴の一声を発している。オープンソースに対するIT市場の需要はまだまだ不透明、と見下していたBallmerの旗色が悪くなってきたことで、今回の大号令は、いつもの喝の入れ方とは一味違うようだ。

 Linuxが一部の人だけが利用するものではなくなってきたことから、Ballmer自身もWindowsおよび自社ソフトウェア製品の優位性を売り込むために奮闘している。今年度従業員に配られたメモは昨年に比べ、内容も大きく変わった。昨年のメモでは、BallmerはLinuxやオープンソースに触れることなく、それ以外の分野での事業戦略について述べるに留まっていた。

 しかし今回Ballmerはオープンソースソフトウェアとの直接対決に臨もうとしている。オペレーションコストを低減するIntelベースのシステムに移行し始めたUnixユーザーが、Windowsに代わってフリーソフトウェアという選択肢を視野に入れだしたからだ。

 「IT投資が削られ、Microsoftの顧客に対する姿勢が問われる中で、LinuxやOpenOfficeといった非商用ソフトウェアへの注目度が高まり、『これで十分ではないか』、『金のかからない選択肢だ』といった評判が立ち始めた」と彼は書いている。

 Ballmerにしてみれば、長期的にはMicrosoftの見通しに自信があるものの、短期的には心配が尽きない。そんな不安定な状況下でこうした出来事が起こった。彼はMicrosoftの成長性について相変わらず楽観視しているが、軟調な市場動向や新規IT投資を手控える動きから、ソフトウェア企業はそれまでのビジネスのやり方を見直す必要があるとも述べている。同氏はCNET News.comのインタビューで、メモについて、またMicrosoftで今起こっている変化について述べた。

---Microsoftが、オープンソースモデルを自社製品開発に導入する可能性はありませんか。

 一言では答えられないですね。我々は商用ソフトウェア企業であり、商用ソフトウェアのビジネスモデルを信じています。これによりソフトウェアの進化や簡便性、ある種のアプリケーション空間がもたらされ、サードパーティのソフトウェアベンダーにビジネスチャンスが提供されると確信しているのです。だからこそMicrosoftは商業ベースという形をとっています。しかし一方で、多くのパートナー企業や政府機関などに、我々のソースコードを共有してもらう時期が訪れたとも思っています。また、サードパーティ・コミュニティやインターネットを活性化させ、当社を含む市場全体に利益をもたらすような当社の保有技術についても、積極的に公開する時期だと思っています。それでもやはりMicrosoftの立場が商用ソフトウェア企業であることに変わりはありません。

---「いくつかの新製品については、試用版をオンライン上で公開し、マーケットの意見を取り入れるのがよい」と書かれていますが、これはオープンソース的なコンセプトに基づくものと解釈してよいでしょうか。

 我々は出所を問わず、良いアイデアは積極的に取り入れています。ユーザーの反応を探るためにソフトウェアを公開することが、非商用ソフトウェアのやり方に似ていると言われるかもしれません。ですがそれは、導入可能なアイデアで商用ソフトウェア企業として顧客に提供すべきものはどんどん取り入れていくという我々の姿勢の表れです。

---お話を伺う限りでは、オープンソース市場で育まれたフィードバック型の開発手法を借りているように聞こえるのですが。

 どの点を指して、そう表現しているのか私には分かりません。ですが、ソフトウェアを開発する企業はどこでもフィードバック型の開発手法を必要としています。開発環境が異なれば、複数のフィードバックシステムが存在して当然です。大切なのは他のシステムから何かを学べるということです。私が考えている最も重要なフィードバックシステムは、メモでも強調しましたが、Microsoftが開発したDr. Watsonというプログラムなどです。このシステムのおかげで、当社はソフトウェアの購入客から製品の不具合や問題点に関する膨大な情報を獲得しており、今やソフトウェアを改良する上で欠かせない方法となっています。これは、Microsoftの手によって生み出された発明といえます。

---今年と昨年のメモを見比べると、今年はLinuxとオープンソースについて多くの行数を割いているようです。この点は昨年のメモとは大きな違いですが、やはり昨年よりもこの問題の重要性が増しているのでしょうか。

 顧客が興味を抱く対象はすべてMicrosoftの関心の的でもあります。ですからLinuxやオープンソースの問題は3、4年前からすでに着目していました。昨年は、従業員に伝えたかった当社のミッションやその実現手段といった内容が実にたくさんあり、思いがけず長文になってしまいました。

 今年の場合、経営陣は戦略面にフォーカスし、顧客に利益をもたらす革新的な事業の可能性について説明したいと考えていました。と同時に、経済状況や競合の出方にもよりますが、我々がビジネスを通じて挑戦を行っていくこと、そして開発や競争に取り組んでいく姿勢をぜひ知ってもらいたいと思っています。Microsoftは正々堂々と戦っていく考えです。その一方で、自社製品のアドバンテージをさらに拡大していくことも忘れてはいません。顧客のために製品をより良くし、改良を重ねる余地がある部分には力を注いでいく必要があると思います。

---MicrosoftがLinuxやオープンソースに対する見方を変えたのはSCOの一件があったからですか。

 そうではありません。当社は製品を提供する際には、自社で開発したかサードパーティからライセンスを受けたかを問わず、必ず適切な知的財産権を尊重しています。SCOの件では、彼らの有する知的財産権が重要であり、当社の製品を利用するユーザーにライセンスを提供したいと考えていました。

---メモの中では古い習慣は変える必要があると指摘しています。これは具体的に何を指しているのですか。

 たとえば、我々が2年前に取り組んでいたことは、あくまでもその時の事業を成功させるためのものでした。ほとんどの仕事がそういうやり方だったのです。けれども、今日それでは通用しなくなってきています。従業員の意識をオープンにする必要があります。「私達は高い品質の技術革新を提供する。次の大きな目標はLonghornだ」という以上、我々は毎年新しい製品をただひたすら送り出すようなやり方を変えなければなりません。顧客への対応について改める必要があるでしょう。頭を切り替え、メモに記したようにMicrosoftの社内慣行を脱却し、オープンになることが必要です。

---Longhornは社運を賭けた製品だと述べておられますが、.Netの時も同じように言っていました。マーケティング面で.Netは難しい局面に立たされていますが、その対応も並行しつつ、Longhornにどのように注力していくお考えですか。

 我々の世界ではよくあることです。当社はいつも新しいことに取り組んでいます。ニーズに応え、改良点に関するフィードバックを得て、新たな革新に努めています。.Netの悪い点をあげつらう前に、.Netの数え切れないほどある良い点を評価しなければなりません。我々の顧客はMicrosoftがテクノロジーを良くする企業だと見ています。ある顧客は.Netへ移行することで、驚くほど生産性を強化し、スケーラビリティおよびアプリケーションパフォーマンスの向上を手にしました。これは非常に素晴らしい成果です。確かに我々はブランディングやネーミングなどの点で、もっと良くできたかも知れません。しかし、顧客にとって重要なものを見逃すよりはましです。

---メモの中でMicrosoftは今後、「パートナーである顧客企業に対して、従来のアウトソーシングと違った形でデスクトップ管理サービスを提供する必要がある。当社の主力部隊をここに投入する」と述べていますが、これはユーティリティ、もしくはオンデマンドでコンピュータの処理機能を提供するという意味でしょうか。それとも、.Net My Servicesの進化形のようなものでしょうか。

 恐らく、どれも違うと思います。おそらくオンデマンドを考えてらっしゃることでしょう。.Net My Servicesは当時メリットをもたらした考え方でした。企業が今求めているのは、デスクトップインフラをクリック1つで管理する効果的な方法です。サーバーはファイアウォールの内側などに置かれているのが普通です。これについて「ハード本体を、アウトソーシングした本体に置き換えるにはどうすればよいか」などとは考えないでしょう。各種製品やサービスを提供するアプローチをやめて、1クリックで管理できるようにしてほしいと望んでいます。実際に作業を行うのは顧客自身かもしれませんし、当社のパートナー企業かもしれません。あるいはMicrosoftがやってもいいでしょう。いずれにせよ、大企業が自分たちで定めたルールやポリシー、セキュリティなどを独自の運用方針で行えます。これは従来のオンデマンドの発想とは異なるアプローチです。そして、企業が現在採用しているアウトソーシングサービスとも違うものといえます。

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