プログラムを作る学生はまた違った視点で語ってくれる。「ウェブサーバ向けのプログラミングをするときにはUNIX環境がある方がありがたいため、Windowsを使っているときもわざわざUNIXのシェルを導入していた。この煩わしさが解決されるのでは? と思ってMacにした。もともとUNIXベースのMacならUNIX関係のコマンドも当然のように揃っていて、開発が楽になった。ケータイ向けアプリのデバッグができないのが困ったところだ。仕方がないのでパケット定額制のケータイにダウンロードしてデバッグ作業をしている」
また別の学生によると、SFCで学年が進んだことがきっかけでMacに買い換えたという。「学年が進んでいくうちにコンピュータについてだんだん分かってきたという点、自分で完結する作業が増えてきた点、例えグループワークをするとしてもデータの互換性の上でもさほど問題はない点がわかった」と、安く買えるとしてつい先頃Mac miniを購入したそうだ。SFCに入学したての頃はわからないことが多いからでWindowsの方が皆と同じで便利、学年が進んでいくとMacでも困らなくなってくる、という変化があるとは思いも寄らなかった。
このように使い始めたきっかけ、使い始めた後に見出した気に入っている点は様々だが、そんな彼らが口を揃えて言うことは、「音楽や写真やビデオの楽しみ方が変わった」ということだ。購入すると初めからインストールされているiLifeソフトウエアは、テキストを主体にコンピュータを使っている人に音楽や写真の管理を、文字の多いプレゼンテーションスライドに偏りがちだった人には写真のスライドショーという面白さを、プログラマにはDVD編集を、それぞれもたらした。
そうしてもたらされた新たなフィールドは、個人の楽しみに留まらず、写真やムービーなどを友人やサークルや研究室の友達と楽しむようになっていく。メールで飲み会の写真を送ったり、集まった場でオリジナルDVDを見たり。あるいはそれらをプリントしたり焼いたりして配ったりもする。これはSFCのキャンパスの中でもごく一部のMacユーザーとその周りの学生の話であるが、少なくとも彼らにとっては、一度は消えた「音楽やビデオはMac」というイメージを、新たな形で取り戻しつつある。しかしそれは専門的というよりは、日頃の楽しみの領域だ。
しかしSFCの学生の間でのMacへの関心をiPodが掘り起こして、iLifeが広げているパターンが見えてきた。まるでAppleが提案しているデジタルライフスタイルをそのまま体現しているかのようなコンピュータの使い方は、このまま一部の特殊な学生のものに留まるか、より大きなキャンパス内のトレンドになるか、継続的に見ていく必要があるし、SFCの特殊事情なのか日本の未来を予測しているのかも見ていく必要があるだろう。
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