ソーシャルネットワークサービス(SNS)分野のMySpaceと並んで、動画共有サービス分野で圧倒的な独り勝ちを続けるYouTube。7月なかばのReutersのニュースによると、現在は1日のビデオ視聴回数が1億回、ビデオのアップロード本数は6万5000本をそれぞれ越え、実際に観られたオンラインビデオ全体の約60%がYouTubeサイトにホスティングされたものということ(これは同社の自己申告)。さらに、Nielsen//NetRatingsの調査では、YouTubeサイトにアクセスしたユニークユーザー数は1カ月あたり2000万人近くに上るそうです。
そして、こんな「ガリバー」のYouTubeに挑もうとする--あるいはニッチを見つけ出そうとする--新たなサービスも後を絶ちません。なかでも、サイト側がコンテンツをアップロードしたユーザーと広告収入を分け合うタイプのサイトは、話題を呼んだ「The Extreme Diet Coke & Mentos Experiments」の作者Fritz GrobeとStephen Voltzが先ごろ利用し始めた「Revver」など、すでにいくつか存在しています。ちなみにこの2人、Revverとのレベニューシェアを開始するにあたり、「われわれのつくったビデオをYouTubeやGoogleのようなサイトには投稿してくれるな("Please do not post our videos on sites like YouTube and Google.")」とのメッセージを自らのウェブサイトに出しました。
さて。このほど始まったFlixyaという動画共有サービスでは、Revverやlulu.tvなど、コンテンツ提供者に広告収入の一部を支払うタイプの動画共有サービスに、さらにひとひねり加えたスキームを用意しています。そのスキームとは、YouTube、Metacafe、Google Video、MySpace Videoといった他のサイトにすでにアップロードしてある動画を、共有用リンクを使ってFlixyaのページ上で表示させるようにした上で、そのページにあるテキスト広告から得られた収益をコンテンツ投稿者と折半する、というもの。また、新規ユーザーの紹介(15ポイント)、ビデオの投稿(10ポイント)、コメントの記入(3ポイント)などのアクションごとにそれぞれポイントが加算され、これを貯めることで、MacBook Pro、iPod Nano、Xbox 360、Sony PSP、100ドル相当のギフトカードなどと交換できるそうです(ただし、最も安い景品でも3万ポイント必要だそうな)。さらに、売上の自分の取り分を慈善団体に寄付できるというスキームも用意されています。
YouTubeなどは月々のネットワーク回線費だけでも相当な額を支払っていると専らの評判ですから、こうしたある種のタダ乗りがどこまで大目に見られるかという疑問も浮かびます。また、そもそもYouTube自体がタダ乗り--著作権付きビデオの無許可公開--と思われる行為で訴えられていることを踏まえると、投稿・公開される作品の所有権とそこからの利益をめぐって、問題がさらに厄介になる可能性も考えられます。
まさに「生き馬の目を抜く」という言葉がぴったりのこのFlixyaのやり方も、それだけ動画共有という分野に大きなチャンスが存在すると多くの人が考えていることの現れでしょうか。
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