「インターネットの父」V・サーフ氏が語るインターネット--その課題と未来

文:Lidija Davis 翻訳校正:川村インターナショナル2009年02月27日 07時30分

 Googleのバイスプレジデント兼チーフインターネットエバンジェリストであり、「インターネットの父」の1人として広く知られるVint Cerf氏は先々週、現在インターネットが直面している問題は、インターネットが登場する前の時代の問題と同じくらい複雑だと語った。

 サンタクララで開催されたSearch Marketing Expo(SMX)カンファレンスで、Cerf氏はインターネットの現状について懸念を表明するとともに、インターネットの未来に対する希望ものぞかせた。

インタークラウド:インターネットの拡張

 各企業はクラウドサービスをさらに拡大、改善、発展させようとしのぎを削っているが、インタークラウドの基本的なしくみや、そのすべてを確実に効率良く、高い信頼性で安全に機能させる方法に関心を寄せている人は少ない。

 「30〜40年前に起きたインターネットの問題とまったく同じように、インタークラウドの問題が発生する可能性があるように思える」とCerf氏は言う。

 Cerf氏をはじめ多くの人々が、インタークラウドやイントラクラウドのセキュリティと同様に、フォーマットやプロトコルといったインタークラウドコミュニケーションの問題に早急に対処する必要があるとしている。

 現在の状態は、Cerf氏がBob Kahn氏とともにARPANETをほかの独立したネットワークにつなぐ方法を模索していたプレインターネット時代に類似しており、クラウドコンピューティングによって同じような課題がもたらされるとCerf氏は指摘する。「企業はクラウドを構築し、クラウドはそのクラウド自体のことや固有のリソースについては認識しているが、ほかのクラウドについては分からない。そこで問題は、通信する手段がないのなら、どうやって『ここからこの情報をこのクラウドに送ってほしい』と言えばいいのかということだ」(Cerf氏)

 課題はインタークラウドコミュニケーションにとどまらない。とりわけクラウドへの移行が活発化している金融サービスおよび医療サービスにおいて、セキュリティやポータビリティなど考慮すべき問題がほかにも存在する。データを保護するためには、データと一緒にどんなメタデータを送る必要があるだろうか。

 クラウドというアイデアに対して人々が憂慮する最大の問題の1つは、プライバシーが損なわれることだ。しかしCerf氏によると、プライバシーは比較の問題だという。「われわれの医療記録がオンライン上にあるとしよう。見知らぬ街で病気になり、救急治療室に行ったとする。救急治療室にいるときには、医療記録のプライバシーのことなどほとんど考えもしないだろう。まず考えるのは、その救急治療室の医師が、病気の治療に必要となるかもしれない情報を細大漏らさず持っていることを確実にするということだ」

 Cerf氏が説明した警告は、「その情報へのアクセスに対し時間制限」を設ける能力だ。例えば、救急治療室のアクセスは24時間に制限し、一方でかかりつけの医師にはもっと長時間のアクセスを許可する。

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