昨年、ブッシュ大統領は、社会保守路線を推し進めたおかげで再選を果たした。今、ブッシュ政権は、露骨な性表現を含むサイトを厳しく取り締まることで、再選させてくれた有権者の恩に報いようとしている
いつものことだが、インターネットがまた政治上の標的となっている。Family Research Councilは最近、ブッシュ政権に、「.xxx」ドメインに対して何らかの対策を講じるよう要求した。.xxxドメインは、アダルトコンテンツ用に予約されたゾーンで、8月に最終的な承認が予定されていた。
政府はこの求めに喜んで応じている。商務省次官補Michael Gallagherは、.xxxの最終承認を保留するように要請した。今後どうなるのかまったく分からない状況だ。
同様の動きは、ブッシュ政権のあらゆる所で起きている。連邦通信委員会(FCC)議長Michael Powellの後任を任命する際、大統領は「下品な」サイトを厳重に取り締まろうとしていたPowellの方針を少し和らげるような人物を選ぶこともできたはずだ。
しかし、ブッシュは選んだのは、わいせつサイトに関してPowellよりもさらに厳しい見方をしているKevin Martinだった。
Martinは、「Saving Private Ryan」をテレビ放映することに反対した人物だ。彼の立候補をParents Television Councilは全面的に支援した。そして、Martinは、反ポルノを掲げる宗教活動家のPenny Nanceをアドバイザーに指名した。Nanceは、「あらゆる社会政策に聖書的な道徳感を」適用することを使命に掲げるConcerned Women for Americaの役員を数週間前まで務めていた人物だ。
司法省も静観していたわけではない。同省は、こうした事態の中で、米国の歴史における主要なわいせつ犯罪の告訴に関わってきたという、National Law Center for Children and Familiesの議長のBruce Taylorを採用した。
前司法長官のJohn Ashcroftは、毎朝お祈りの会を開くことや、彼の部下が司法省に設置されている彫像の裸の胸を覆うと決めたことなどで、深夜のコメディ番組でジョークのネタにされていた。
しかし、Ashcroftの後継者である現司法長官Alberto Gonzalesは、アダルトサイトに対して厳しい記録保持義務を課すという強行策に出た。この規則は、その有効性をめぐって、現在も法廷で争われている。児童オンライン保護法(Child Online Protection Act:COPA)もそうだ。司法省はこの法律を支持しているが、Salon.com、American Booksellers Foundation for Free Expression、News.comの発行元であるCNET Networksなど主なメディア企業は反対している。
拡大する「下品な」コンテンツの規制
議会は、検閲官のようになってきている。その一例が、アダルトサイトに対する課税法案だ。下院では別の法案も可決されている。「下品な」コンテンツを放送したときの罰金を3万2千ドルから50万ドルに引き上げ、場合によってはその局から放送免許を剥奪する可能性もあるという厳しいものだ。
上院は現在、この考えを、ケーブルテレビ、衛星、インターネットにまで拡大適用することを検討している。「ブロードバンドやVoIPを介して、たくさんのチャネルが家庭に配信されているが、その中には子供には見せても大丈夫なものしか含まれていないと主張できるためにも、何らかの方法が必要だ」と商務委員会議長でアラスカ州選出共和党議員のTed Stevensは記者に答えている(VoIPはvoice over Internet protocolの略)。
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