一方、笠原氏は、「mixi」をリアルな人間関係をベースとした、身近な人とのコミュニケーションツールと位置づけ、広くネット上に情報を発信するブログとの違いを強調する。SNSは従来のコミュニケーション手段とは異なる、違う世界観を持ったものだというわけだ。そのため、ユーザーにとって「居心地の良い」空間の提供を目指し、各種機能を提供している他、デザイン、インターフェース、サポート体制に心を配っているという。
さらに今後は、一人にひとつメールアカウントが普及したように、「mixi」のアカウントを持つことが当たり前になり、コミュニケーションインフラのひとつとして成立できるよう、事業を拡大していきたいという。
ブログサービスの今後についてどう考えているか、という笠原氏から近藤氏への問いに対し、彼は「ブログは書き込みが半永久的に蓄積されるため、ハードウェアへの投資が必須。その状況下で、ほとんどを無料で提供しているサービスを、今後、どこまで維持できるかがポイントになる」と答えた。現在、国内でブログサービスを提供している企業は20〜30社はあるだろう。すでに生き残り競争は始まっている。
モデレータを務めたネットエイジグループ代表取締役社長の西川潔氏 |
またブログの使われ方についても、仕組みとしてはすでに浸透し、これからはブログを使って「何をするか」というフェイズに入ったと近藤氏は言う。ユーザーそれぞれが、用途に適した使い方を見いだしていくのではないかと、考えているそうだ。
逆に、近藤氏から笠原氏へは、SNSの今後についての質問が出された。人間関係には揺らぎや飽きなどがある。友人関係が持ち込まれるSNSでは、今後、人間関係が変化した際に利用しづらくなるケースも出てくるのではないかというわけだ。
これに対し笠原氏は、「リアルの人間関係がベースにあるからこそ、SNSを活発に使う理由になる」と言う一方、それゆえに使いづらくなる事もある程度は想定していると答えた。実際、退会する人や、いったん退会して入り直す人、「友人をマイミクシィから外す」という機能を使うケースも、出てきているという。しかし、「その辺りはユーザーさんの自由にやって欲しい。mixiは、使いたいように使って貰えれば」と語った。
資金調達は必要か?
はてなとイー・マーキュリーの共通項は多いが、資本金がまだあまり大きくない点も似ている。はてなは2750万円。イー・マーキュリーは6420万円。それぞれ資本政策についての質問を受けた二人だが、答えは同様で、「現状は増資などは考えていない」というものだった。
ネットサービスの新境地を作る二人はどこへ向かうのか |
従来はサーバーや回線などが高く、サービスを軌道に乗せるまでに多くの資金が必要とされた。しかし現在はそれらインフラに関わる部分の経費が非常に安くなったため、新しいサービスの提供のハードルが低くなった面がある。 そしてなにより、新しい世代に共通するのが、身の丈にあった資金の中で最大限の努力をし、技術開発をしていこうという考えだろう。両者とも、今後必要に応じて資金調達をする可能性もあるというが、姿勢は慎重だ。
新しいサービスを提供する、若い世代の台頭。今後も、彼らをはじめとする若手起業家の動向に注目しておくべきだろう。
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