最近セカンドライフという言葉が新聞紙上を賑わせています。私は個人的にも会社的にも興味があり、またこのようなものがはやると広告会社の提案スタイル自体が変わっていくと考えています。
セカンドライフでのプロジェクトデザインやコンテンツ企画制作、コンサルティングサービスを手がける株式会社メルティングドッツの浅枝代表は、取材時に以下のようなことを私に語ってくれました。
「新たな経済圏として期待されているセカンドライフに参入する企業の収入モデルとして、当然広告は欠かせません。アドバゲーミング社など多くの広告代理店や企業が参入をしていますが、なぜセカンドライフがこんなにも注目されるのでしょうか。それは広告の入りやすさ、別の言い方をしますとセカンドライフという(大義の)コンテンツと広告のマッチングのしやすさにあると思うのです。通常のゲームですと想像上の世界がほとんどのため、企業や広告の存在が違和感を生んでしまうところを、セカンドライフはゲーム型インターフェースを持ちながらも現実により近い世界なため、コンテンツと広告が融和しやすい、ということで企業参入を受け入れやすいのです」
「セカンドライフをゲームと考えるか、そうでない別媒体と考えるか、という点も重要です。これを決めるのは広告代理店やメディアレップサイドとなると思いますが、私は広告ビジネスとマッチしやすいエンドユーザー主導型コンテンツと捉えています。まだまだ母数も少なく、日本語化もされていないため、購買等に結びつける直接的な広告効果はあまり期待できませんが、インターネットの次世代のプラットフォームと考えると、どのように発展していくかが見ものです」
つまり浅枝氏は、ユーザーが作るコンテンツも企業が作るコンテンツもまた広告も現実に近い仮想空間というパッケージの中で融和するであろう(または融和し易い)、ということを言っていると思うのです。
既存マスメディアの場合、「送られる」番組や記事等の「コンテンツ」と「広告(例:TVコマーシャル)」は、その送られる時間の違い、および掲載空間の違いから別物であるという視点にたっています。しかしインターネットの世界では、相対的にユーザーの使用態度が違うために、コンテンツと広告は極めて密接な関係または広告はコンテンツに含めるといった視点が求められると思うのです。
新しい広告手法で、プロダクトプレースメントというものがあります。DVD等の普及により、CMを飛ばす消費者が増えていることを背景に、ドラマや映画等のコンテンツの中に企業の商品広告を登場させるというマーケティング手法のことです(exBuzzwordsより)。この広告手法が脚光を浴びているのも上記のような視点があるからではないでしょうか。広告を広告と見せることも重要でありますが、コンテンツと広告の関連性を考え、トータルに提案をしていく姿勢が、今後の広告会社に強く求められることなのではないでしょうか。
大手広告代理店退職後、財団法人社会経済生産性本部において経営コンサルタントの認定を受け、その後1999年9月株式会社オプト入社。2001年1月より同社代表取締役COO。2006年1月より同社代表取締役CEO。慶應義塾大学経済学部卒、産能大学大学院経営情報学研究科(MBA課程)卒、中小企業診断士。デジタルハリウッド大学院教授(「インターネットマーケティング」担当)。「サイバーコミュニティを使った『ニーズ調査』の有効性に関する比較研究」(経営情報学会2000年、共同研究)、「インターネット広告による売上革新」(同文舘出版2006年、共著)等学会・講演活動多数。
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