11月21日、2000年12月以来の約5年ぶりに、日経平均株価が1万4800円を突破してしまいました。
このところ少々怖いくらいに日本の株式相場が上昇しています。この半年で見ても右肩上がりの上昇ぶり。こうした少々過熱気味とも思える株高傾向が後押ししてか、インターネット証券サイトのユーザーがぐんぐん増えているのだそうです。
つい先日も、インターネット専業証券大手5社(イートレード証券、マネックス・ビーンズ証券、楽天証券、松井証券、カブドットコム証券)の口座数が急増しているというニュースが流れておりました。5社を合わせた口座数は2003年末に100万口座で2005年6月に200万口座に達していたものが、11月中には250万口座を超える勢いだそうです。市場活況を目の当たりにして「こりゃ儲かるかも」と思って口座を開設するビギナーが増えているということでしょうか。一般週刊誌の中吊り広告の見出しにもこのところ「株式投資」という文字が大きく踊っています。
このような状況を見る限り、大きな株ブームが来ていて、しかも皆さんかなり「儲かってそう」に見えるわけですが、実際のところはどうなんでしょう?というわけで、皆さんのインターネット株取引ライフについて調べてみました。
まずは、どのインターネット証券サイトを利用しているかを訊ねてみました。
●あなたが使っているインターネット証券会社は?
1 |
イートレード証券 | 73人 |
2 |
野村證券 | 36人 |
3 |
マネックス・ビーンズ証券 | 33人 |
4 |
楽天証券 | 25人 |
5 |
松井証券 | 22人 |
6 |
大和証券 | 18人 |
7 |
カブドットコム証券 | 13人 |
7 |
日興コーディアル証券 | 13人 |
9 |
丸三証券 | 8人 |
10 |
ひまわり証券 | 6人 |
10 |
ライブドア証券 | 6人 |
1位はインターネット専業証券の老舗と言える、イートレード証券でした。2位の2倍以上のユーザー数を獲得しています。その2位にランクしているのが日本の証券会社の代表格のひとつ、野村證券でした。
3位はマネックス・ビーンズ証券(12月3日からはマネックス証券という名称)。2005年5月にマネックス証券と日興ビーンズ証券とが合併したことで、存在感が大きくなりました。社長の松本大氏の知的で優しそうな風貌もブランディングに貢献しているかもしれません。4位の楽天証券の前身はDLJディレクトSFG証券。楽天が買収した時点ですでにインターネット専業証券の大手でしたから、これは順当なランクでしょう。5位の松井証券は、1918(大正7)年創業の超老舗。でありながらインターネット専業にサクッといち早く切り替えた革新的な会社でもあります。
ちなみに、各証券会社が公開している9月末の口座数を見ると、野村證券のホームトレードは182万8000口座、日興コーディアル証券のイージートレードが88万8000口座と、実は老舗の大手証券会社は非常に口座数が多いことがわかります。インターネット専業証券会社であるイートレード証券の77万7455口座、マネックス・ビーンズ証券の48万3962口座、楽天証券の36万5097口座、松井証券の35万1407口座を大きく超えています。ところがインターネットユーザーを対象にした今回の調査だと、順位が逆転してしまいました。
では、その証券会社を選んだ理由はなんだったのでしょう。今回の調査では、「手数料が安いから」が1位。「有名だから」「老舗だから」がその後に続きます。インターネット専業証券は各社とも手数料の安さを競っていますから、それが利用者の大きな動機になっているのは間違いなさそうです。
ところで、サンプル数が1000人なのに、1位のイートレードでさえユーザーが73人とずいぶん小さな数字になっていることにお気づきでしょうか。実は、今回の回答者の実に70%にあたる707人がインターネット証券サイトを使っていないという答えだったのです。「使っていない」人に使わない理由を訊くと、「難しそう(48.7%)」「資金がない(47.8%)」「株は怖い(29.8%)」という順序。とはいえ、10人いると3人は株をやっているという状況は、株式投資が特別な人のためのものだった時代に比べると、これでもずいぶん大衆化したと言えるのかもしれません。
次に、利用頻度を訊ねてみました。ここからわかるのは、インターネット証券サイトのユーザーの投資スタイルです。いちばん多かったのが、月に1〜5回の売買をする方で30.4%。月に31回以上売買する方(つまり、超短期投資〜デイトレード)も4.4%いました。月に1回以上の売買をする人は合計で利用者の47.5%になります。彼らの投資スタイルは短期投資型なのです。これはインターネット証券の手数料の安さが大きく関わっていると思われます。手数料が安いのでユーザーは気軽に売買を繰り返すことができ、証券会社は「薄利多売的」にたくさんの手数料収入を得る。結果、先日の史上最高の45億株(11月8日・東京証券取引所)という出来高につながっているのでしょう。
最後に誰もが気になることを訊ねてみました。
「で、儲かってますか?」。
結論から言うと儲かっていました。金額を問わなければ儲かった人が169名に対して、損した人は58人。プラスマイナスゼロの人は66人でした。今年は相場自体が上昇していますから、これは当然の結果でしょう。
ではどれくらい儲かったのか。今年になって儲かった金額が1万円以上10万円未満という人が66人でいちばん多く、10万円以上50万円未満の人も41人と多数派。このあたりが普通なのでしょうが、500万円以上という人も3人、1000万円以上は5人もいました。投資額はわかりませんが普通の個人投資家としてはかなり儲かっていると言えるのではないでしょうか。
ちなみに、1000万円以上儲けた5人のうち4人は月31回以上売買、あとの1人は月に11回〜20回の売買を繰り返しています。つまり、スタイルとしては、スイングトレード〜デイトレードの短期投資ということになります。
もちろん、大きな損を出した人もいるようです。500万円以上の損だった人が2人、1000万円以上の損だった方も2人いらっしゃいました。
そんなわけで、とりあえずは比較的多くの人が、比較的儲かっているらしい今年のインターネット株取引ですが、次の相場はどちらへ向かうのでしょう。「1万4800円」という日経平均株価はこの国の経済の実勢を反映しているんでしょうか、それともバブルなんでしょうか。「買い増し」でしょうか、「手仕舞い」でしょうか。少なくとも「話題」としてはまだしばらくヒートアップ状態が続きそうな気配のインターネット株取引です。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」