PS3はいかなる位置づけとなるのか - (page 3)

結局は何と比べるか、どんなドリームマシンと位置づけるのか

 とはいえ、結局は何と比べるかということであり、「子供が買うゲーム機としては」という先入観でいえば高いかもしれないが、大人が遊び心で「最先端のゲームもちょっとだけ楽しみたい」という気持ちでPS3を眺める限り「Blu-rayも見られるし、ブロードバンド端末としてダウンロードした映像を大型テレビで見るのにはちょうどいい」といったPS3=AVホームサーバといった理由付けもできるわけだから、この価格設定には無理はない。むしろ、同様の機能を提供できるのがWindows PCのハイスペック機や、Macのいまだ発表されていない最上位機種などになるだろうから、それらと比較すれば「極めて安い」といってもいいだろう。

 問題は、ホームサーバやリビングルーム向けブロードバンドレシーバといった新ジャンルの製品に対して、一般的な価格感覚がないということだ。せいぜい、ソニーが出しているホームサーバタイプのPC「VAIO type X Living」と比べると格段に安いといった認識が設定しやすいといった程度に違いない。

 とはいえ、PS2の後継というゲーム機としての性能がまず本道にある。そのため、ソニーとしてもゲーム機としてのラインでも市場を取り逃がしたくはないことは事実だろう。であれば、「ゲーム機ではない」ということを打ち出しすぎることも賢明ではないのかもしれない。

 いずれにしても、今後、ソニーにはPS3が実現する「リビングルームイノベーション」のビジョンを説明する義務が課されていることには違いがない。この説明責任を果たせない限りは、PS3に対する不安を払拭することはできない。ただただ、高性能のCellチップを搭載している、あるいはBlu-rayを再生できるという単純なスペックだけではなく、僕らの生活がどう変わりうるのかを示すことで、「ゲームとして値段が高い」といった評価を完全に払拭することができるだろう。加えて、イノベーションのソニーというかつてあった栄光を取り戻し、家電製品の新たな幕開けを宣言することすら可能ではないか(個人的には、今度発表されるHDDレスのVAIO UXには、その片鱗を感じて大いに期待するところなのだが)。

 Xbox 360が、来年初めに出荷される予定のWindows Vistaのリビングルームへの先遣隊として位置付けられていることが明確になってきている現在、「PC v.s. TV」というかねてから議論されてきたテーマが、ここに来て現実の戦いとなってきた。その意味において、価格はさておき、その発売に向けてPS3にどのような戦略が示されるかには注目が否が応でも集まっていくことには間違いがないだろう。

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