インターネット衣料品通信販売サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの株価が上がらない。業績は絶好調ながら株価の反応は悪く、15万円近辺でもたついている。
スタートトゥデイは成長著しいEコマース関連各社の中でも圧倒的な勝ち組企業と認識されている。2010年3月期業績は高成長見込みで、連結売上高は前期比52.4%増の163億円、経常利益は同40.9%増の31億3000万円、最終利益は同37.7%増の17億5000万円。計画公表時は強気すぎるとみられていた数字だが、送料無料サービスやテレビコマーシャル開始による知名度向上で月次売上高は快走中だ。
2010年3月期初に30%台だった前年同月比の増収率が7月に47.7%増、8月には50.6%増と月を追って拡大。売上高の規模が大きくなる年末年始に入るとその勢いが加速し、12月に92.2%増、年が明けて1月にはついに119.7%増と驚異的な伸び率を記録している。
この月次売上高の加速度的な伸びにより、当初は強気すぎると指摘されていた業績計画は達成可能と言われるようになり、そして増額修正含みとまでみられるようになってきた。
スタートトゥデイはユナイテッドアローズやBEAMSといった多くの若者から支持される有力ブランドを抱える。ユナイテッドアローズに関しては、通信販売事業のほとんどがスタートトゥデイ経由のものとなっている。直近で3月18日にはレディース向けセレクトショップ「DEUXIEME CLASSE」「edit. for Lulu」「FIGARO Paris」のオンラインショップ3店舗を同時オープンさせる予定だ。魅力的なショップがファッションに興味を持つ会員を引き寄せ、その優良会員数が魅力となって新たなショップを呼び込むという、好循環を生んでいる。
Eコマース創成期から、衣料品はネット通販に向かない商材だとみられてきた。試着して購入するという、当然の購買行動が取れないためだ。スタートトゥデイは独自の採寸規格を用いるなどして使いやすいサイトとしてだけでなく、安心して購入できるサイト作りをしてきた。これが驚異のリピート率を誇る会員網を作り上げるバックボーンとなっている。スタートトゥデイはこのノウハウを活用し、他社向けにEコマースサイト運営管理受託ビジネスを展開している。
足元の業績は絶好調で先行きへの期待も高いが株価は停滞。この説明には株式市場でよく用いられる「織り込み済み」という言葉がしっくりくる。スタートトゥデイ株は2009年3月から9月にかけて大幅高となり、6万円台から19万円台まで駆け上がった経緯がある。この上昇相場の中で年末年始の販売急拡大や将来に向けた期待のほとんどを株価に吸収してしまったのだ。株価の反応の鈍さはここにあり、業績面での好材料は逆に利益確定売りのきっかけにもなったようだ。
業績拡大期待は高いものの、すでに高く評価されている株価は不感症気味。当面は参戦妙味の乏しい展開が継続しそうな雰囲気だ。
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