サイバネット業績上方修正含み、株価反転上昇へ

 CAE(コンピュータによるエンジニアリング)ソフト大手のサイバネットシステムの業績が回復基調にある。2006年1月のライブドア・ショック以降の長期の株価下落トレンドにようやく歯止めがかかり、反転上昇の兆しを見せ始めてきた。同社の今後の業績動向と株価推移の見通しを探った。

 同社が4月26日に発表した2007年3月期の連結決算は、売上高189億9800万円(前々期比9.2%増)、営業利益25億4000万円(同10.4%増)、経常利益28億2700万円(同11%増)、純利益15億1600万円(同0.9%増)と増収増益を達成した。

 同社グループの中核事業であるCAEソリューション事業部門は、自動車、電機、精密機器業界向けなどの安定した需要に支えられ、制御系、機械系、光学系、エレクトロニクス系の主力CAEソリューションサービスを中心に堅調な推移をみせた。特に、フラットパネルディスプレイ市場向けの照明解析ソフトウェアならびに輝度・照度、色度測定システムの販売が大きく伸びたことが寄与した。このため、同事業の売上高は163億9200万円(前々期比14%増)、営業利益も40億7400万円(同)となった。

 一方、ネットワークソリューション事業は、主力商品のIT資産管理ソフトウェアの新規導入の一巡などから、売上高は26億6000万円(前々期比13.6%減)。営業利益も1億400万円(同35.3%減)と、大幅な減収、減益を強いられた。

 2008年3月期の連結業績について同社では、215億円(前期比13.2%増)、営業利益26億4000万円(同3.9%増)、経常利益27億2000万円(同3.8%減)、純利益17億3200万円(同14.2%増)と経常利益を除いて前期比増収増益を見込んでいる。

 売上高の増加は、今期も前期と同様に携帯電話や液晶テレビ向けの光学系やエレクトロニクス系、さらに自動車系でデファクトスタンダードとなっている「マットライブ」を中心とした制御系などでの需要増により、主力のCAEソフトウェアの継続的な成長を見込んでいる。

 ただ、東京・秋葉原への本社移転に関連した賃貸料(3.6億円増)の計上や移転費用増(推定約2.4億円)などの特殊要因により、営業利益の増加幅が小幅に止まってしまううえ、前期発生した円安による為替差益(1.8億円)もなくなるとの前提から、経常利益は前期比小幅減益を見込んでいる。しかし、同社の今期為替レートは1ドル=115円となっており、現状の1ドル=120円水準で推移すれば、今期も為替差益の発生の可能性もあり、上方修正により一転経常増益となる期待もある。

 同社の株価は2006年1月のライブドア・ショック直前の時点では15万円台だったが、その後ほぼ一貫して下落トレンドをたどり、60%以上の下落率を強いられ現在も6万円台の株価に低迷している。しかし、時価水準の連結PERは12倍台と、東証1部全銘柄平均の約20倍に比べてかなりの割安水準にあり、今期の業績見通しも堅調なことから本格的な反転上昇の機運が高まりそうだ。

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