日経平均株価が9営業日続落(29日まで)と、極端な全般低迷相場が続いているなかで、SI大手のCTC(伊藤忠テクノサイエンス)の株価が急反発をみせている。急反発のきっかけとなったのは、モルガンスタンレー証券が27日に発表したCTCに関するレポートだ。そのレポートには「こんなに仕事をこなせるか懸念するほど忙しい」という会社側の発した刺激的なコメントがタイトルとして掲載され、「いまどき数少ない明るい話題」として多くの市場関係者の関心を集めている。
そのレポートによると、通信業界向け中心に受注が好調に推移しており、直近の取材では会社側から「一部の大手顧客については“こんなに仕事をこなせるのか懸念されるほど忙しい”状況」とのコメントを引き出しているという。また、利益率改善策の進展もあり、同証券では9月中間の受注高について、会社側当初計画の1250億円を上回る1300億円と予想。さらに、連結売上高を1110億円(前年同期比4.7%減)、営業利益72億円(同20%増)、経常利益72億円(同15%増)と、小幅減収ながら2ケタの増益を想定し、会社側予想を大幅に上回ると試算している。ちなみに、会社側予想は、売上高1091億円(前年同期比6.5%減)、営業利益54億円(同14%減)、経常利益54億円(同10%減)と減収減益予想となっている。また、投資判断については、従来の「EQUAL-WEIGHT(中立)」の評価を継続するとしながらも、目標株価については従来の4150円から4350円に引き上げている。
9月中間期の業績について、会社側の見通しを大きく上回る予想を明らかにした背景について同レポートでは、売上依存度の高い通信業(昨年度の売上構成比30.9%)からの受注が活発化したことや、一般事業法人向けでもハードウェアの更新やネットワークの投資などインフラ系の需要が伸びていることなどにより、受注が好調に推移するとしている。
CTCの株価は、8月5日に発表した第1四半期(4〜6月)の好決算が評価されて、8月4日の安値3740円を底に、ハイテク銘柄の全般軟調に逆行高するかたちで上昇を続け、8月31日には4830円高値まで29%と短期間での大幅高となった。しかし、その後は反落調整局面となり、9月27日には一時3990円まで売り込まれ、4000円台を下回る場面もあった。
しかし、モルガンスタンレー証券のレポートの内容が広く市場関係者に認識された翌28日に株価は急反発をみせ、一時4430円まで買い進まれる展開となった。NECをはじめとした主力IT関連銘柄の多くが下げ止まる気配をみせず、相次いで年初来安値を更新し続けるなかで、このCTCの株価反発は特筆すべき現象といえる。
さらに、株価の低迷によって市場に浮上しはじめている「景気腰折れ懸念」が杞憂に終わるのではという強気論に材料を提供することにもなりそうだ。
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