今回は、連載テーマとなっている「コンテンツの『逆』潮流」に関し、ファッション誌でもそのような傾向が表れつつあることをお伝えしようと思います。
女性の方はご存じでしょうが、Popteenというファッション誌があります。10代後半〜20歳前後というファッションにお金を使い始める世代で最も売れている女性誌で、いわゆる「ギャル文化」を代表する雑誌と言えます。
4月27日に東京大学で行われた講義「コンテンツ産業論」第二回では、そのPopteen副編集長の石原亘さんを講師にお招きし、ユーザー(消費者)とファッション企業をつなぐ位置にある雑誌という立場から、思わずうなずいてしまうようなお話をいろいろ伺うことができました。
なお、石原さんは、「渋原系」という最近盛り上がりをみせているファッションの新ジャンルの名付け親としても知られており、「渋原系」読者をターゲットに4 月に発刊したPopSister誌(文字通りPopteen姉妹誌)の編集長も務められています。
実は、男性で、かつ、ファッションと縁遠い大学の世界にいた私は、つい最近まで「ファッション誌が流行(トレンド)を作り出し、読者はそれに従う」という単純な図式で業界を理解していました。
Popteenの講義に先立つ第一回講義でも、学生から「雑誌に踊らされ、主体的に服を選ぶことができない日本人の文化性を分析して欲しい」との声もあり、マスコミから消費者へというトップダウン的な情報の流れについて、大勢としては違和感を覚えなかったというのが正直なところです。
もちろん、トップダウンだけでなく、消費者からマスコミへというボトムアップ的な流行の作られ方もあるとは思っていましたが、石原さんのお話を聞いて、想像以上にボトムアップ的な側面が多いことに目を見張りました。
まずは、ファッションのトレンドの広まり方のうち、従来のトップダウン型について、石原さんの分かりやすい説明がありましたので、要約して引用します。
第一段階:まず、(世界のトップデザイナーによる)コレクションと呼ばれるファッションショーが、春夏ものと秋冬物に関し、それぞれ年2回行われます。開催地として代表的なのは、パリやミラノなどです。
そこで、次のシーズンの流行トレンドのイメージができあがり、そのキーワードが生まれます。ただし、そこから出てくるのは「マリンテイスト」や「フューチャー系」などといった、かなり大雑把なトレンドでしかありません。
第二段階:なお、コレクションで出てくる洋服は、あくまでショーのために作られており、そのままでは街で着られないものが大半です。そこで、このようなトレンド感を取り入れつつ普段着ることのできる服をつくるというのがアパレル企業の仕事です。
第三段階:また、アパレル企業はファッション(衣類)を店頭に出す前に、ファッション誌で一斉に露出します。消費者は誌面を見て、次のシーズンに流行るものや、好きなモデルが何を着ているかをチェックします。このパターン自体は長い間変化していません。
大雑把にまとめると、「トップデザイナー⇒アパレル企業⇒雑誌⇒消費者」という流れのようです。
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