企業におけるウェブサイトが重要な役目を果たすようになった現在、SEO(検索エンジン最適化)は避けて通れないテーマとなっている。アイレップ サーチエンジンマーケティング総合研究所の所長である渡辺隆広氏は、CNET Japan Innovation Conference 2005 Summerにて「サーチサービスを使った企業サイトの活用法」と題したワークショップを開催し、検索エンジンをさまざまな分野で活用させる方法について語った。渡辺氏は、日本で初めてSEOサービスを開始した人物だ。
2種類のSEOを把握せよ
2種類のSEOについて熱く語るアイレップの渡辺氏 |
ワークショップの前半でまず渡辺氏は、「多くの企業は、ユーザーを自社サイトに誘導するという観点のみでSEOをとらえがちである」と警告を発した。つまり、SEOというとウェブ検索におけるSEOばかりが重視され、サイト内検索のためのSEOがおろそかになっているというのだ。渡辺氏は、この2種類のSEOの違いを把握しなくてはならないと述べ、、「ウェブ検索のためのSEOの度が過ぎると、サイト内検索のためのSEOを施す際に障害となる場合がある」と指摘した。
「サイト内検索の精度を上げることは、ユーザーにサイト内の情報を適切に伝えることになる。それがたとえばコールセンターの負荷を下げることにもつながり、サイトに誘導されてきたユーザーがゴールにたどり着きやすくなる」と渡辺氏は述べ、軽視されがちなサイト内検索のためのSEOの効果を説明した。また、「リスティング広告から誘導されたウェブページにてサイト内検索SEOを施し、売上がアップしたケースもある」と実例を紹介した。
さらに渡辺氏は、PCの型番を検索すると、そのPCのスペック情報が一発で出る仕組みを採用したPCメーカーのサイトを例に挙げ、「量販店の販売員もスペックがすぐにわかるため、販売がしやすいことはもちろん、サポートの負担も軽減される」と説明し、サイト内検索SEOがサポートにも役立っているケースを紹介した。「サポートの向上は既存ユーザーの確保にもつながる。新規ユーザーの獲得だけがサイト内検索SEOの効果ではない」(渡辺氏)
ユーザーは繰り返し検索する
ワークショップの後半では、ユーザーの検索パターンと、そのパターンを利用してブランド力を向上させる方法について示された。
渡辺氏は、ユーザーがある商品を購入するまでに、繰り返しその商品について検索し、納得してから購入するケースが多いことから、「この行動特性に合わせてキーワードを包括的に網羅し、ユーザーが購買に至るまでの各段階に合ったキーワードを用意する必要がある」とした。つまり、ユーザーが検索を繰り返す中で、検索結果で同じサイトが何度も表示されると、ブランド認知の向上につながり、SEOがブランドの認知度を向上させることにも役立つわけだ。
ブランド力を向上させるためにSEOを施すには、「自社サイトの構造をしっかり把握して、それぞれのカテゴリやページに合わせた正しいキーワードを選ぶことが大事だ」と渡辺氏は強調し、「ユーザーの“繰り返し検索”に対応したSEOを施すことで、SEOによるブランディングが可能となる」と述べた。
最後に渡辺氏は、「ここまで見てきたように、検索はマーケティング以外にも活用できる。今後は、こうした点も踏まえた上でSEOを行うことが重要だ」と繰り返し強調した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」